表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/113

第26話 俺は元Jリーガーのブランドを活用した

俺はニッキーも含めて元Jリーガー3人と会っている。

場所は個室があるレストラン。


個室だから、周りの目を気にしないで話ができる。


ニッキーが連れてきたのは、俺は名前も知らない元Jリーガー。

ニッキーは40歳を越えているが、後のふたりは30代と20代だ。


「3人とも、元Jリーガーなんだよな」

「ええ。僕は高校卒業してプロになって、6年ほどプロに在籍していました」


そうか。

6年で除籍になると、まだ20代半ばということだな。


「しかし、プロでやってきたんだから、サッカー関連の仕事はないのか?」

「ニッキー先輩のような実績を残した選手ならコーチとかいろいろな道がありますが、僕くらいの経験ではコーチをやっても教えて欲しいという人は少ないんです」

「それで翔太さんに相談したいんだ。常務がすごい人と言うから、もしかして、何かいい方法を知っているかと」


そう。

ニッキーの相談は、Jリーガーを引退した後輩たちのこと。

いくらプロのサッカー選手をしていたと言っても、実社会では通用しない。


ほとんどの仕事では、プロで活躍していた期間は、実務上何も役立つことをしていなかったとして扱われてしまう。


「フリーターをしていたのと同じ扱いなんです」


20代男は、寂しそうな顔で言う。


「そうなんすよ。まだ、若ければ新しい道を探すこともできるんですがね。僕みたいに30後半だともっと厳しくて」

30代男が言う。


「しかし、プロで活躍してきたというなら、根性はあるんだろう」

「もちろんです。アスリートとして評価してもらえるんなら、普通のサラリーマンには負けません」

「そうすよー。運動とかならいいんだけど。仕事としての評価だと、認めてもらえないんすよ」


確かに今の会社は、即戦力を求める傾向があるな。

フットサルなら、昨日のチームメンバーに負けることはないだろうが、仕事としてみたら間違いなく彼等の方が上だ。


「もちろん、教えるのがうまいとか、ビジネスセンスがあるとか。サッカー以外に能力がある人ならいいんです。お店をやっている元Jリーガーもいれば、サッカースクールを始めたのもいます」

「すると、この3人はサッカー以外の能力がみつかっていないってことか」

「みつかっていないというよりも、そもそもないんすよ。根っからのサッカーバカ、すよ」


うん、30代男が一番、バカっぽい話し方をするな。

それじゃ、普通の会社の面接で落とされそうだな。


「実は、昨日1日、サッカーやフットサル業界をネットで調べてみた」

「どうでした? いい情報とかありました?」


ニッキーが喰いついてきた。

たぶん、ニッキーが一番俺に期待をしているのだろう。


「いい情報というんじゃないが。フットサルの業界もあまりよくないな」

「そうなんですよ。5年前に比べてフットサル人口が半減しているって言われてて」


ニッキーは名前を知られている元Jリーガーだから、フットサルチームのコーチや指導を頼まれるらしい。

それでも、すごく収入が多いとはならない。


名前を知られていない元Jリーガーでは、コーチの話も自分で動かない限り来ることはない。


「だけど、フットサルコートは増えているんだよな。要はチャンスはあると思う」

「何をしたら、そのチャンスというものをゲットできるんでしょうか?」

「俺に作戦がある。協力してくれるか?」

「もちろんです、な、みんな」

「必要なら言ってくれっす。元Jリーガーなら一杯いるっすから」


うん。試してみたいことがある。


それは、個サルと呼ばれる業界のこと。


個サルというのは、個人フットサルの略で、チームに属さないでフットサルを楽しむ人のこと。

時間と場所と料金を決めて、フットサルを楽しみたい人達を業者が集めて試合をする。


チームに属すほど熱心ではないが、サッカーの試合を楽しみたい人向けに用意した方法だ。

最初はフットサルコートを運営している会社が始めたのだが、今はイベント会社も参加している。


個サルが始まったことで、一気にフットサル人口は増えた。

しかし、長続きしなかった。


フットサルをしたいと言っても、どんなスタイルでフットサルをしたいか人によってさまざまだ。


本気でやりたいガチ勢と、楽しくやりたいエンジョイ勢が大きく分ければいる。


ただ、ガチにしろ、エンジョイにしろ。

もっといろいろと別れてしまうというのがある。


フットサルがチーム戦である以上、チームメイトとの関係が、フットサルをした後の満足感に大きく影響する。

それのコントロールは、参加者任せというのが実際のとこになっている。


だから「思ったほど楽しくない」というのが、フットサル人口が半減してしまった理由なのだろう。


それを知って、俺はひとつのアイデアを思い付いた。


「元Jリーガーと楽しむフットサル」


ガチ勢向けがいいのか。

それとも、エンジョイ勢向けがいいのか。


そこは分からない。


しかし、プロの世界を一緒に体験してみたい。

そう思う人もいるんではないか。


それがアイデアの元だ。


そして、普通のサラリーマン以下の仕事しかない元Jリーガーがたくさんいる。

さらに、コートは空きがある。


きっとコートの空きを埋めたいという運営会社も多いだろう。


俺はこの線で計画を立てて元Jリーガーの協力の元、イベントを実施することにした。



いよいよ新しいビジネスが始まるよ。


「そんなに簡単にうまくいくのか」

と思ったら。


ブクマと↓で評価をよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] フットサルの自分の向いてるタイプやスタイルを元Jリーガーが一緒のコートで実践してくれて、目標のタイプやスタイル別に仮のチーム分けしてミニゲームを繰り返し 定期的に協賛メーカーやスポンサー募…
[一言] 上手くいくのか? 面白い 続きが気になる 更新頑張れ 待ってる( ๑´•ω•)۶
[一言] こういう独立系組織は受けるでしょうね!特に高校生やその親につまり彼らの客観的実力を査定してくれる元先輩の厳しい評価や助言は、翔太に解り易い考課表の原本と査定のマニュアルを作ってもらい評価者に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ