第17話 なんだか車屋さんがコンタクトしてきた
「あなたが武田翔太さんですね」
「ああ。そうだ」
家の近くの喫茶店で俺はその男と会っていた。
年齢は50歳くらいか。
いかにも大企業のお偉いさんという感じだな。
「バグを見つけてくれたそうですね」
「ああ。結果はやはり、あれだったか」
「ドン・ピシャリ、です」
バグの検証が終わったということだな。
想定通りということだろう。
だが、なんで、こんなお偉いさんが会いにくるんだ。
報告なら統合チーフで十分だろう。
「それで、またお手伝いをお願いしたいと思いまして」
「あとはバグを直すだけだろう。問題の場所が分かればなんとかなるんじゃないか」
もうバグのある個所は確実に把握されているはずだ。
それだけの指示は出しておいたはずだ。
「もちろん、それはなんとかなります。ただ、時間が掛かります」
それはそうだろう。
間違っているとこだけ直せばいいというバグでもないしな。
「想定外の事態でして。AIの深い部分に問題があったものですから」
たしかにAIの根幹部分にあったからな。
影響する部分が大きいことが考えられる。
AIベースのふるまいで、アプリケーション部分が作られているようだからな。
「それで対応の方法が3つ提案されていまして。どれが効率的か判断できなくて困っています」
「それで俺に手伝えと」
「はい。あのバグを見つけた人が判断するなら、誰もが納得するという意見がありまして」
あー、また。
何日か徹夜しないといけないようだな。
あまりやりたくない仕事ではあるな、
「ひとつだけ、抜けられない用事があってな。それだけは抜け出していいというなら、仕事を受けよう」
「ありがとうございます! それでフィーは拘束1週間までで、700万円でどうでしょうか」
ずいぶんと俺のレートが上がってしまっているな。
日当100万円か。
「1週間掛からなかったらどうなる?」
「もちろん、700万円払います」
「それ以上になったら?」
「そのときは、再契約ということで。損はさせません」
「分かった。信用するとしよう」
間違いなく、この男が出しているのはポジティブなオーラだけだ。
状況は大変だという気持ちは垂れ流しているが。
信用ならない感じはないからな。
☆ ☆ ☆
「ええーーー。富田自動車の常務さん。すごいじゃないの」
「まぁな、売上日本一の会社だしな」
「そんな人が直々に会いに来たの?」
「そうらしい」
一般の人の反応はカスミのようになるのだろう。
どうも、俺はお偉いさんのセンサーが壊れているのかもな。
まぁ、あっちの世界では国王だろうが、教皇だろうが、勇者の俺には丁寧な対応をしてくれたからな。
いくら日本一の会社の常務でも、国王ほどのパワーはないからな。
「本当にすごい人なのね。翔太は」
「そうでもないぞ」
「ううん。そんな翔太と一緒にいられる私は幸せね」
「あー、だけど明日からは別々だな」
「うん。待ってる」
「それとオークションの日だけは抜け出すことを了承してもらっている。一緒に行こうな」
「はいっ」
それからは一週間分のエッチをした。
最近、カスミは感じやすくなっている。
まぁ、あっちの世界でやりまくったから、俺のテクはすごいテクになっている。
それを駆使してカスミを感じさせることをしているから、開発されまくったということだ。
美少女が感じまくる姿は実に美しい物だ。
俺にしか見せない姿だろうがな。