第111話 手柄泥棒と直接対決が実現!
「分かった! 言う通りにする」
「では、トークン結びのキーワードを持って解除ができるふたりが揃って指定の場所に来い! もちろん、解除に必要な機器を持ってな」
「いつまでに?」
「場所は10分あれば行ける場所だ。今すぐ出ろ。10分経っても来なかったら、こいつは殺す!」
画面には銃を突き付けられたエリカが映っていた。
意識がないらしく、ぐったりしている。
「分かった! 10分で行く。場所を指示してくれ」
「良い心がけだな。余計なことをするんじゃないぞ。警察にでも通報したら分かっているだろうな」
「ああ。そんなことはしないぞ」
今は何より、エリカを救出するのが最優先事項だ。
その先に起きることは、そこから考えるしかないだろう。
「いくぞ、在真!」
「はい」
俺達はスマホに指示された場所に急ぐ。
渋滞がある時間ではないから、車の方が速い。
車を手配して乗り込んだ。
「いそげ!」
10分弱で着いた場所は小さなショッピングモールのような場所。
しかし、閉鎖されていて廃墟のようになったいる。
最近のバリ島では大型のショッピングモールがいくつもオープンしてるから、このような小さなショッピングモールは閉鎖されてしまっている。
指示に従い入口から入る。
「来たぞ!」
「よく来た!」
ショッピングモールは一階と二階が中央で吹き抜けになっていて、2階に立っている男が返事をした。
「お前は!!」
「ぐふふ。今度は私の勝ちだな」
男が仮面を外して素顔をさらけ出す。
勝ち誇った顔の手柄泥棒だ。
なんでこいつが、こんなところにいるのか。
そしてエリカを誘拐したのがこいつだったのか。
今、敵の正体がやっとわかった。
「エリカを放せ」
「こいつのことだな」
手下がエリカを抱えて前に出てくる。
意識はやはりなく、手下に拳銃をつきつけられている。
「お前らがトークン結びのロック解除をすれば、こいつは返してやる」
「それは……」
多くの人が利用しているトークン結びの評価システム。
それの制御をこんな奴に任せていいものか。
しかし、エリカが…。
「迷っているな。よし、選ばせてやろう。あと10秒待つ。それまでに答えが出ないなら、こいつの足を撃つことにしよう」
「卑怯な!」
ここは力業で切り抜けるしかないな。
そのために、ポーションを飲んできたのだ。
ポーションの効果と異世界帰りの持つ身体強化。
これが重なれば、あいつのことを制圧できるだろう。
俺は、足でフロアを蹴り飛び上がった。
2階にいるあいつに蹴りを入れるために。
「おっと、すごいな。しかし、甘いな」
後ろからSPの制服を来た男達が出てきた。
動きが早いぞ。
こいつらもポーションを飲んでいるのか?
あいつの前にSPが並びガードしやかる。
俺はひとりのSPの肩に足を掛けて飛び越す。
しかし、その後ろに別のSPがバレーボールのブロックの要領でガードしてきた。
なんだ? どうして、越えられないんだ!
「こいつらは、2倍濃縮のポーションをたっぷり飲んでいるんだよ。いくらお前の身体能力であっても、無理だろうな」
「何を!」
「翔太さん! 危ない」
手柄泥棒の後ろから拳銃を構えたSPがまさに撃とうとしていた。
しゃがんで避ける。
その隙に4人のSPに取り押さえられてしまった。
無念だーーーーー。
「お前のやりそうなことは、全てシミュレーションさせてもらった」
「これでお前も人質だな。そこの在真よ、こいつと女の命が惜しかったら、ロック解除をしろ」
「くくっ」
「やめろー。こいつらにトークン結びを渡すな!」
在真はスマホを取り出して掲げる。
その画面には大きなボタンがひとつ。
「これを押せば、ロックが解除される。警備システムもすべて止めることになる」
「ぐふふ。早く押せ。さもなければ、どうなるか分かっているだろうな」
「翔太さん、ごめんなさい!」
「やめろー」
解除ボタンをぽちっと押した。
スマホの画面が真っ赤になる。
「ロック解除中」と大きな太字が流れる。
「ぐふふ。やったな、おい、どうだ?」
「入れます! コアモジュールに接続完了しました!!」
後ろにいる、誰がみてもオタクだと分かるメガネデブが叫ぶ。
あいつがハッカーの親分か。
これまでか…。
その時、いきなり閃光が起こりガラスが割れる音がした。
ずいぶんとサボってしまいました。
ラストまで、あと10話くらい。
突っ走ることができるでしょうか。
「続きを読みたい」とか。
「終わりが気になる」とか。
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