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第108話 トークン攻防戦が繰り広げられていた

「どうだ? トークンは元気か?」

「あ、翔太さん。見てくださいよ」


ディスプレイ上に大きくふたつの数字が表示されている。

今は90:10となっている。


「この数字がこちらの勢力と敵対勢力のパワーを表しているんです」

「すると、今はこっちが9倍の勢力ということか」

「ええ。だけど、このくらいだと反応スピードがやられてしまうんです」


本来は100:0なんだが、それに比べて防御のための演算で反応速度が1/2になっているらしい。


「そういえば、前にロスメンの評価の改ざんを元に戻すのに、一瞬ではなかったな」

「ええ。トークンの基本的な動きは生物学をベースにしているんです」


例えていうならば、トークン、ひとつひとつがアリのような物らしい。

評価というものは、トークン同士の結びによって実現している。


角砂糖を庭においておくと、アリが集まってくる。

評価というものも、角砂糖のようにアリを集める。


アリとアリが触覚で角砂糖のありかを教えあうように、トークン同士も評価の結びを教えあう。

それによって評価にはいくつものトークンに結びつけられていく。


「敵は結び付けを強引に書き換えをしてくるんですよ。それをパトトークンが連絡を受けて対応していくしくみです」


うーん。

分かるような分からないような。


まぁ、生物学をベースにしているというのはよくわかった。


そういえば、俺も最初に作ったプログラムはライフゲームだったな。

牧草と羊と狼を設定して、自由に繁殖させていくと面白いくらい一定割合になる。


生物学とプログラムというのは相性がいいのかもしれないな。


「それでですね。反応が落ちている現状を打開する新しい策があるんです」

「どんな策だ?」

「よくぞ聞いてくれました。自衛団機能です」


自衛団というのは、パトトークンのような兵士アリではなく、普通のトークンである働きアリに自衛機能を持たせること。

そして、自衛機能を持ったトークンが連携して自衛団として働くってこと。


「この方法の良さは、特別な活動をしていない普通のトークンを活用できるから負荷がかからないってことなんです」

「要は国民皆兵ってことだな」


今みたいに、ずっと攻撃を受け続けて、負荷がバカにならないなら良い方法な気がする。

もっとも、実際、どんなことが起きるのかは、もう俺の頭ではついていけないが。


トークンシステムを守るには在真の頭にかかっているってことだな。


「もう、各トークンに防衛機能を配るバージョンアップトークンは準備できています。今からゴーをかけましょうか」

「よし。やってみてくれ」


なにやら、コマンドを入れるとバージョンアップ率が表示されるようになった。

最初は1%上がるのに数分かかっていたが、徐々にスピードが上がってくる。


「バージョンアップのスピードが何故あがるんだ?」

「バージョンアップトークンを量産しているんです。どんどん増えて、バージョンアップしまくりますよ」


ただ、バージョンアップの数字だけ上がるのをみているのも暇だな。


「ほら、こっちの数字も動きだしましたよ」


90:10を表示していた味方と敵の比率は、味方の数字が上がるようになってきた。

しばらくすると、敵の数字が0.1くらいになった。


「このくらいになれば、大勢に影響はありません。0にするのはちょっと難しいですが」

「だが、敵もまた新しい方法を考えてくるんじゃないか?」

「そうですね。もうひとつ上の防御システムも考えています」

「どんなのだ?」

「パトトークンの上位トークンです。パトトークンはバトルもしますが基本、異常がないか見回るのが任務なんです」

「ほう。では、バトルトークンって呼ぶのか」

「えっと、バトークンにしようかなと一瞬思ったんですが、やっばり駄目ですか」


うむ。

在真は命名にセンスがない。


それがはっきりしたな。


本編に出てくるトークンの話。

全くのフィクションでいう訳でもないんだ。


元々はウインドウズの動作原理になっているオブジェクト指向のプログラミングに、分散処理のブロックチェーン手法をプラスして、AIを搭載したもの。


って設定。

もちろん、今のコンピュータの動作原理を完全に理解している人からしたら、相当なんちゃってが入っているけどね。


こういうSFちっくな世界においては、もっともらしさが大切なんだ。


「そんなシステム、ひとりで作れるはずないだろう」というのはごもっともだけど、

それ言ったら話が成立しない。


天才プログラマーが独創的なアイデアにしたがって10年掛けて作り上げたもの。

それは前提の話なので、否定しちゃ駄目ってルール。


だけど、小さいとこではちゃんと法則性も守っていて、外から攻撃されたらどうなるのか、

とか。いろいろとストーリーに絡む話になっている。


大きな嘘はいいけど、小さな本当らしさは大切にする。

まぁ、ビジネスの話もそう。


ビジネスっていろんな基本思想があるんだけど、僕が採用しているのは「人の役に立つビジネスは価値がある」って考え方。


もちろん、継続性や利益性とか、そういうもので計る方法もあるけど。

独創的なアイデアで、多くの人の役立つビジネスを組み上げれば、

いつかは大きく育っていく。


そんな理想家的な思考で書いている小説でもある。


投資にしても、「世の中の害になる企業には投資しない」っていう

バフェットさんの投資理論が好きだなー。


と。

いろいろな原則的な話を書いているけど。

一番いいのは、この原則。


後書きは「評価のおねだりである」ってこと。

何を偉そうに書いても、最後はちゃんと原則に戻る。


下にある☆をちっとして評価してちょうだいね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 作者は異世界に行ってしまったのだろうか?
[気になる点] 誤字じゃないけど兵士蟻じゃなくて兵隊蟻? [一言] まあ蟻だと働き蟻も戦って戦うのが専門なのが兵隊蟻って感じだが… 勝手なイメージだけど働き蟻、兵隊蟻、兵隊蟻(オオズアリの兵隊蟻みたい…
[一言] ハッカーによる攻撃そのものには対処できそうだし、後は賄賂の影響がどうなるかですかね。
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