第100話 いきなりデモがでかくなったぞ
「日本人はバリ島から出ていけ!」
「バリ人の仕事を日本人が奪うな!」
「バリ人は日本人の奴隷じゃない!」
俺はショウタイズムの事務所から外に集まったデモ隊を見ていた。
在真やカスミ、エリカもいる。
「なんか、急に増えたな、在真」
「ええ。今日のデモに参加予定人数は1000人を超えているみたいです」
「テレビ局もずいぶん来ているみたいですよ」
「すると、そのうちもっと大きなデモになるのかな」
「でしょうね」
俺がバリ島でやっていること。
それはバリ人のためになると思っている。
しかし、バリ人はどう考えるのか。
それはバリ人の自由だからな。
「どう思う? エリカは」
「私、ここに集まっている人達がバリ人の代表じゃない思うわ」
「そうか?」
「翔太さんがやっていること。喜んでいる人は多いはず」
「だけど、反対派がこれだけいるのは確かだな」
「翔太さんのビジネスに負けた人達じゃないの?不動産屋とか、人集めの会社とか」
「そうだろうな。直接、仕事に影響している人達だな」
「それとその家族ね」
しかし、1週間したらずいぶんデモ隊が増えた。
約10倍になった。
テレビ局もずいぶん来ているから、来週はさらに10倍になるかもしれない。
「どうしたものかな」
「バリ島親分に頼んだらどうかしら」
うーむ。それは考えた。
バリ島親分はバリ州のお偉いさんともお友達がたくさんいるという。
俺はそっち方面は全然知らないからな。
「いや。こういうことでバリ島親分を巻き込むのはどうかと思うな。同じ日本人だから、いっしょくたにされかねないし」
「でも、どうしようもないわ」
うーむ。
ビジネス的なことなら、対抗することも可能だが民衆相手は苦手だな。
異世界では、魔王という明確な敵がいたから、民衆をまとめるのに苦労はなかった。
恐れて動けない人を勇気づけることはしたが。
真っ向から民衆に反対される経験はないからな。
「明日。月曜日だから、バリスターズの番組が始まるし。ちょっとはマスコミ対策ができるかも」
「あー、それもどうかな。いきなりスタートから日本人の肩もったら、バリの視聴者に嫌われるんじゃないかな」
結局、大した良いアイデアも出ずに様子見となった。
☆ ☆ ☆
「ボス。いい話が来ました」
「おう、どんな話だ?」
最近はボスと呼ばれるようになった私。
ジャカルタを中心とした権力を持つ連中とも連携ができてきている。
バリ島でもあのポーションは効果絶大で特に権力に近い連中は喜んで使っている。
今、飛び込んできたのは私の連絡係をしているインドネシア人の若者だ。
まだ25歳くらいだろうが、日本語がペラペラで頭もいい。
「実は資金提供の話です」
「ほう。どこからだ」
「詳しい事は言えないそうですが。どうもアメリカ系らしいですよ」
「アメリカ? なぜ、そんなところから」
「アメリカとしても、今回の件は注目しているみたいです。もっとも、面倒くさい奴は早目につぶすというだけのことでしょうが」
アメリカには、アメリカの覇権を維持するために行動する奴らがいるとは聞いたことがある。
私の目的とアメリカの目的が一致するとはな。
「それで、資金とはどのくらいの金額なんだ?」
「なんと、100万ドルです」
「本当か!」
翔太の奴。
そこまでアメリカにとってヤバイ奴認定されているということらしいな。
これは好都合だ。
さすがにポーション程度じゃ、資金不足になりそうだからな。
「ただ」
「なんだ?」
「アメリカ筋のひとからひとつ依頼がありまして」
「なんだ?」
「すごいポーションの話らしいのですが、良く分からなくて」
「おう。それか。大丈夫だ。オッケーと伝えてくれ」
「あ、はい。分かりました」
あのポーションでつながっていれば、なかなか強くなるからな。
また、資金が必要になったら、頼める相手になりそうだしな。
☆ ☆ ☆
「で、そっちの方はどうだ?」
今日のもうひとりの面会者。
と言っても、日本にいる奴だから、ネット面会だが。
まぁ、最近はネット環境がいいから、バリ島と日本でも問題なくネット面会ができるな。
こいつは、ハッカーチームのリーダーだ。
あいつのシステムをネット攻撃する計画を任せている。
「それがあまりのペラペラさ加減に驚いてますよ」
「あー。短期間に機能を広げすぎた結果だな。攻撃は簡単にできそうか」
「いえ。攻撃よりも、あのトークンというものを我々の思い通りにするのはどうですか?」
「そんなことができるのか」
「ええ。1週間あれば」
「それなら1日でやれ」
「ちょっと待ってくださいよ。1日はちょっと」
「まぁ、やってみてくれ。特別なポーションもあるしな」
「もしかして。例の頭の回転がやばいくらい上がるって、あれですか」
「ああ。あれを100ポーション分、入手したぞ」
「分かりました。1日でやります」
うむ。
濃縮体力ポーションに、濃縮思考ポーション。
これがあるだけで、いろんなことがスムーズに進む。
私がビリオネアになる日も近づいているということだな。1*あとがき部分… と、いうか。風なのか?って感じ。→風邪なのか?
ふう。なんとか、風邪が治ったみたい。
と、いうか。風なのか?って感じ。
検温しても36.8℃しかないし、その割に頭だけ暑くてぼーっとする。
満月だからかな。
満月のときは感謝を捧げるのが基本なんだ。
評価ポイントたくさんいれてくれて、ありがとうです。