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1章 人類削減計画 8話
2人だけの朝の教室に重い静寂が流れる。
沈黙を破ったのは翔だった。
「なあ、どうやったら黒服になれると思う?」
翔から昨日のことを切り出すとは思わなかった。
しかも、黒服になりたいだなんて。
昨日までの5年間を信じて俺は翔に尋ねた。
「・・・なんで翔は黒服になりたいの?」
「・・・」
「あの人たちは、死体処理をしてるんだよ?怖くないの?」
「・・・怖ぇよ」
「じゃあなんで!」
また、沈黙が流れる。
今度は俺から破った。
「昨日の大学生が気になるの?」
「・・・」
相変わらず翔は黙っていたが、目を見れば分かった。
翔はこの国の秘密に触れることを、昨晩のうちに決めたのだ。
「・・・分かった、なるなとは言わないよ」
「ありがとな、旭。俺も、一緒になれとは言わねぇよ」
「ああ、でも助けが必要な時は言ってくれ。・・・友達だろ?俺たち」
その日から俺達は、それぞれの道に歩み始めた。