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1章 人類削減計画 6話
「旭ー、ご飯よ!」
ベッドの上で考え込んでいたら夜になってしまったらしい。
そういえば、外からの風も冷たくなって来ている。
春が暖かいのは日中だけだったか。
俺は窓を閉めてリビングに行った。
「旭、お箸出してね」
「・・・うん」
「あら元気ないわね?」
流石は母だ。
息子の声のトーンだけで健康状態が分かるらしい。
「大丈夫、ちょっと友達と喧嘩しちゃって」
何故か分からないが、俺は母に嘘をついていた。
本当は話してしまいたいはずなのに、黒服の影が脳裏を掠め、口に出せないのだ。
「ただいまぁー」
丁度父も帰ってきた。
ご飯を食べて寝たら忘れられるだろう。
そう考え、俺は誰にも話さずに、今日を終えた。