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1章 人類削減計画 5話
俺たちが話している間に、ほかの黒服達が大学生を片付け終わっていた。
「あの大学生どこに連れていかれるんですか?」
この人なら答えてくれるかな、と思って尋ねた。しかし、地雷だったようだ。
途端に黒服は厳しい顔つきになり、優しさの消えた恐ろしく低い声で一言だけ言った。
「詮索はするな。これ以上は子どもと言えども話せん」
そのまま踵を返し、バスに乗り込んでしまった。
俺と友達もしばらく大学生がいた場所を見つめていた。
「なあ、今日のこと絶対誰にも言うなよ。多分、俺らはあの黒服に見逃して貰えただけだ」
「うん・・・」
二人共居心地が悪くなり各々の家に帰った。
「・・・ただいま」
「あら、早かったわね」
昨日母に話していればもう少し楽だったのかもしれない。
今更死んだ人の話なんて・・・どうせ信じてもらえないだろうから。