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1章 人類削減計画 2話
キャハハ!と子供の声がする。
元気に遊んでいるこどもの横で、窶れた大学生がベンチに腰を掛けていた。
その表情はとても生者と思えぬほど固く、視線は虚空を彷徨い何も捉えていない。
ふと、大学生が子どもに目を向けると、1人の少年・・・俺が走ってきた。
「ねえ、お兄さん!なんでそんな暗い顔してんの?」
俺がそう聞くと、大学生は苦しそうに言った。
「・・・就活が、全く上手くいかないんだ。今の世の中、各大学の中でもほんのひと握りしか職を得ることができない。俺も決して悪いはずじゃないのに、天才共は俺の努力を塵にしていく。今年で7留だ。きっと来年もまた天才たちに俺の努力は取られるんだろうよ。もう29、採用適齢期を超えてしまう。どうせ無理だ。これ以上両親に迷惑をかけ続けるくらいならいっそ、死んでやる。・・・ってゴメンな?小学生相手に何言ってんだか俺は」
話し終えた大学生の顔はどこか晴れた暗さがあった。
元気になったのかな?
その頃の俺はそう思った。
だが、次の日俺は知ることになる。
それが死を望む人の表情なのだということを。