オアシス
こんなことってあるか?
馴れ馴れしさが、親しさの証。
軽々しい交渉の思惑は、夜な夜な滑らかさを増す。
そんなことでいいのか?
胸より沈んだ場所に棲む、最古の亡霊。
亡霊の囁きは白々しい悩みの調べに乗って、神々しい慈愛と抱擁に転調する。
そういうことだったのか?
清々しい朝なのに、なんと苦々しい私のねぐら。
菌糸のまとわりつく布団を潜り、私の亡霊を抱えて眠る。
いつもの朝のために。いつもよりは、背中が痛い。
こんなこともある。
いつもの私のために。いつもよりは、歩きが早い。
そんなこともある。
いつもの夜のために。いつもよりは運がいい。
音声のみの二人の軽々しい交渉は成立し、呼吸に紛れた囁きが私の眠りの邪魔をする。いつもよりは、考え事が多すぎる。
思いに更ける長方体の部屋で、黄金に光るオアシスを見た!こんなことがあるのか!
夜な夜な現実味を増す亡霊の営み。
日に日に存在感を増す私のオアシス。
信じていい。オアシスの管理者を射止める術はある。