来訪者?のようです
「な、え」
口を動かすも驚きは言葉にならず、ただ悠大な大樹を見上げるばかり。
薄緑に輝く大樹は風に揺られ、大きく伸ばした腕を震わせる。それは歓喜に身を震わせているようだと、フレイは頭の隅でぼんやりと思う。
すると、大樹が一際輝きなんらかの力を全方位に放った。
「ふふ、嬉しそうです。」
こちらに歩いて戻ろうとしていたアイリスが大樹を見上げて呟く。
何が、と思う前に答えを見つける。
--世界が。この大地が、神の祝福を受けた。
それが、先程の大樹から放たれたもの、アイリスの呟きの答えなんだろうと認識する。
考えている間に目の前に戻ってきていたアイリスに、フレイはなんとか考えを纏めて問いかける
「あの、大樹は一体……先程のも……」
「少し大地と同化して、大地を起こしました。そのために、この地に私の力たる楔を穿つ必要があったので、大樹を創りました。」
あの大樹があればこの星はアイリスの力の恩恵を受け続けられるのだと言う。
逆に、大樹がなければ大地は目覚めず、緩やかに星は死を迎えるだろう--とアイリスは話す。
ぞっと顔色を青くさせるフレイに、少し慌ててアイリスは付け足す。
「星の死、といっても人間の行動次第です。何十億年も先かもしれませんし、最低でも何千年かは星は生きます」
その言葉に一度は安堵を覚えるも、すぐに疑問が湧いてきたフレイは、アイリスに視線を送る。
にこりと微笑まれ、暗になんでも聞いてくださいと言われたような気がして、質問攻めにしてみようと意を決した。
「人間の行動次第、とは?」
「星は、資源です。生物は生と死を繰り返し、星のサイクルに従います。ただ人間だけが、欲のままにたくさんのものを求め、資源を際限なく追い求める。」
語りながらもアイリスは少し悲しそうに顔をゆがめている。それは、実際に見てきたような物悲しさを浮かべていた。
「私達は、崇め奉られなければ、星そのものに干渉することすらままなりません。星の悲鳴をどれだけ聞こうとも。」
「しかし、私達も神の存在は人伝にしか……術師様達からしか、聞いておりません!崇めているわけでも……なのに何故、」
降りて参られたのですか?その言葉は、アイリスによって遮られた。
「この森が、美しかったからです。それに……」
「フレイ兄様!こんなところに!!ってうわ!?」
がさがさ、と森を抜けてやってきたカルロが何かを伝えようとして大樹に気付き立ち止まる。
「どうしたんだ、カルロ」
「これのせいか……っ兄様!外から人がやってきたんだ!剣を持ってて、それで……っ」
ただならぬ様子に、フレイはすぐさま走り出す。カルロは慌てて追走すると状況を伝えた。
「兵士みたいで、近くの町のりょうしゅさま?からの使者だって……!魔法ででっかい木を作ったやつを連れてこいって!」
どうやら、先程のは少し遠い領主の屋敷からでも見えたようだ。何事かと慌てて兵を出したというところだろう。
「大丈夫だ、私がなんとか説明するから」
カルロがこくりと頷くのを目の端で確認しながら、フレイは走った--
自分でもなにをしたいのかわかりません(涙目)
ノリで書くと苦労します、本当に。