お嫁さんではないです
「……はぁ」
「どうか、なさいましたか?」
「いいえ……なんでもないです、はぁ……」
フレイは今、神様--アイリスを連れて色々なところへ案内をしていた。とはいえ、案内とは名ばかりで、フレイが行く先々にアイリスもついてくる、それだけなのだが。
--とりあえず、どうしますか。
--どうもこうもお主、どうも出来んじゃろう。
このような言葉を術師と長老が交わしてる間、フレイは目を遠くして現実逃避しようとする。が、当然当事者である以上逃げられない。
長老と術師に「一番初めに出会ったお主に任せる、よいな?」と詰め寄られた挙げ句神にすら「案内を頼んでも……?」と不安げな表情で言われたら断るわけにもいかなかった。
「こちらは、私達森の民の居住区です。」
「はい。」
案内する必要もない居住区であったが行ける場所は限られるため、仕方なしに足を向ける。
ちらほらと見えるフレイと同じ薄青の髪色をした老若男女、それと子供が物珍しそうにアイリスに目を向ける。
すると、子供が幾人かこちらへ走ってきた。
「ねぇ、フレイ兄様!」
「なんだい、カルロ。」
フレイは大人になったばかりで親しみやすい。
子供達全員の兄のようであり、実際にそう慕われている。だからこそ、子供の中で最年長のカルロは声をかけた。
「この綺麗な人誰?兄様のお嫁さん?」
「ぐっ!?」
「え?!お嫁さんなの!?」
「およめしゃんー!」
勘違いを次から次へと流していく子供達に笑顔をひきつらせ慌てて訂正しようとするも、多勢に無勢だった。
きょとんとしたまんまのアイリスを困ったまんま見やればくすくすと笑い出す。
「違うよ、この御方はね……神様なんだよ。」
「かみしゃまー?」
「そう、とっても偉くてすごいんだ」
最年少の子に説明するが、首をかしげられるばかり。小さい子供にはわからないかな、と様子を見ればアイリスの方を眩しそうに見ている。
小首をかしげて見返すアイリスに何やら納得したのか頷くとにこーっと笑ったのでアイリスもにこやかにする。
フレイはといえば、神様らしくなくて色々と驚かせられたが……
「神様はいつも何してるの?どうしてここにきたの?」
今年で七つになる女の子であるシャリーがくりくりとした瞳を輝かせて無邪気に聞く。
その質問は他の子も聞きたいらしく、カルロも他の皆も静かになって見上げてくる。
「いつも……あっちへ行ったり、こっちへ行ったり……?行きたいところに、行きます。ここは、とても気持ちよさそうな場所なので来ました。」
正直に話すアイリスにフレイは神様らしくないなと改めて思った。
「へぇー、自由なんだね神様って!」
「かみしゃまじゆうー!」
次は、と話しかけようとした子供達にアイリスは困った顔を見せると、「ごめんね、この後行かなければならないところがあるのです」と言った。しかしフレイの案内でついてきてるだけのアイリスに用事があるはずはないのだが、アイリスは困った視線をこちらに向ける。
ついてきてほしい、と言われた気がした。
「ええと、ごめんね。案内しなければいけないんだ……。」
「また会える?神様」
「ええ、まだどこかに行くつもりはありません」
「それじゃあ、行ってくるよカルロ。子供達をよろしくね」
「任せてよフレイ兄様!」
頼んだよ、とばかりにカルロの髪をくしゃりと撫でると嬉しそうに笑う。
そして、振り向いてアイリスの後をついていくことにした。
眠いときに書くと話がひどいことになってますよね。見直して気がついたらいいんですが、ひどくなくてもこのままでいいのか不安にになります。私は永遠に小説初心者かもしれません