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訳が分からないです

「ええと……私の言っていること、伝わっていますか?」

「伝わっています!じゃない、服着て、服!」

「服……?」


 先程も同じことを言ったのに。もしやこの人は服を持っていないのだろうか。丸裸だからね、持っていないね。

 そしていつになったら湖の中央で浮くという行為をやめてくれるのだろうか。あまりにも非現実的すぎて思考がどこかへ飛んでいく。


「と、とりあえず私の服を持ってくる--」

「こんなものでしょうか。」


 すっと手を振っただけでその人は見たこともないあっさりしたデザインのローブを身に纏ってしまった。

 びっくりして動くことはおろか声も出せない私の目を真っ直ぐ射止めながらその人は湖の上を歩き出す。

 いつの間にか風が止み、世界の全てが彼女の挙動を感じ取るように--否、挙動に魅入るように止まっているのだと直ぐに気付く。

 サク、と裸足で草を踏みしめ陸地へ上がり、そのまま私の目の前まで来て見上げてくる。


「初めまして、貴方は第三位界に私が初めて降り立った星の一番最初に出会った人間です。」
















「……はい?」

「初めまして、貴方は第三位界に私が初めて降り立った星の一番最初に出会った人間です。」


 色々とつっこみたいところが多すぎる、と思った。目の前の、私を見上げてくる少女らしき人は訳の分からないことを言っているのだ


「訳の分からないこと、とは心外です。私はたった今事実しか述べておりません。」


 それでも私には通じていないのだから訳の分からないことなのだ--まて、今……?


「はい、貴方の心の中を少し視ています。」

「……っ!?」


 私では判断出来ない、森の皆、いや術師様に話を聞きに行かなければ。そこまで思ってふと目の前の少女を見る。

 自分が言うのもなんだが簡素なローブ、ワンピースと言った方が正しいかもしれない。袖から覗く透き通った肌に、陽光を受け輝く紫の髪が映える。魔獣となんて戦ったこともないだろう。


「置いていけ……ないよねぇ。仕方ない、ついておいで、私の仲間のところに案内するよ。」


 何か言おうとする少女の腕をぐいっと引っ張り、湖を後にする。








 自分の容姿について心の中で思ったことも少女は読めちゃってるわけですが、黙っているということを覚えたようです。

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