何か降りてきました
むかし、むかし、あるところ。
それはそれは緑豊かな美しい大地の、美しい湖の真ん中に、神様が降り立ちました--
それは、幼子に語られるような始まりから成る一つのお話。だけど、私にとっては、たった今目の前で起こった出来事。
私達森の民は他の人間と一線をひいて森と生き、森と暮らし、森に感謝する日々を送っていた。
というのも、私達が生きる糧はこの星と森から分け与えられているものなのだという考えを持った者達がいつの間にかこの森に集まり、集団になっただけだったらしいが。
始まりは誰も知らない。いつの間にか、この森に吸い寄せられてしまい、森の民となっている……そういったものだった。
私は森の民として生まれ育った。今は既にこの世にいない両親に似て、端正な顔立ちをしているとよく言われる。
長い薄青の髪を後ろでゆるりと纏め垂らした私は水瓶を手に、大好きな湖へ向かっていた。
森の民は森の端の一角を森から分け与えられていると考えているため、あまりそこから動くことはない。
たまの祈りの時間と、水汲みの時間以外でこの湖を訪れることもない、そして今は水汲みの時間だった。
水を汲もうと屈んだ私がふと見上げた先に、光が降ってきていた。
ものすごく驚いたものだ、それでも水瓶を取り落とさずにしっかり抱え込むとそれを凝視した。
光が次第に収まっていくと、湖の中央に浮かぶ人影を見ることが出来た。
遠くからでは視認出来ないが、どうやら女性のようだ。薄く輝く紫の髪が長く、肢体にまとわりついて輝いて……
「へっ?」
素っ頓狂な声をあげると私は慌てて顔を逸らす。と、同時に静かな声が聞こえる。
「----」
何か語りかけてきているのはわかるのだが、いかんせん裸だから見るのもはばかられる。
「え、ええと……ごめんなさい、よくわからない、というか何か服着て服!羽織るもの!」
「ふむ、こうでしょうか」
最初は変な音を発していた彼女だったが次の瞬間こちらに意思が通じるようになっている、これはどうしたことだろう。
びっくりして他のところはなるべく見ないようにしながら視線を戻す。
そして、再び湖に浮かぶ人から声が発せられる。
勢いだけで書くって大事ですよね。
連載では初作品なので長さがバラバラだったりしますが、よろしくお願いします。