再会
キーン、コーン、カーン、コーン
鐘が鳴ると、あちこちで騒ついていた学生が席についた。
40日間ほどの長い夏休みが終わり、夏休み明け最初のホームルームが始まる。
「転校生を紹介する」
教室に入ってきた担任は、教卓の前に立ち、クラス全員の顔を見渡しながらそう言った。
まもなく、教室に男女の二人が入ってくると俺は驚いた。
なぜなら、その二人はどちらも俺の知った顔であったからである。
昔、アメリカに住んでいた時に知り合った友人で、向こうにいた頃は毎日遊んでいた。
そうこう思い出しているうちにクラスはまたザワつき始めていた。
しかしその理由は分かっている。
なぜなら、こっちを見てニヤニヤ笑っている男は色黒で筋肉質のその体は制服の上からでもガタイがいいのが分かり、髪は短髪で金色、眼が青く、整った顔立ちだ。
さらにその隣で大きなあくびをしている黒髪ロングヘアの女は誰が見ても美少女というレベルなのだ。
「みんな、転校生の雷土アキラと水樹愛だ。仲良くしてやれよー」
担任は黒板に名前を書きながら言った。
グラウンドからはバットでボールを打った甲高い金属音が響いている。校舎の隣にある体育館からは運動部の掛け声が聞こえてくる。
不知火仁は真っ赤な太陽が照りつき、生暖かい風が当たる校舎の屋上にいた。
「よぉ、待ったか?」
後ろからの声に振り向くと、缶コーヒーが投げられる。俺はそれをなんなくキャッチした。
「待ったかって・・・お前らいつこっち来たんだ!?てか、来たなら来たで連絡しろよ」
「久し振りだね!仁!」
久々に見た愛の笑顔は昔と変わっていなかった。
「はははっ、悪い悪い。ちょっと、面倒ごとがあってな。けっこう忙しかったんだ。まぁ、そのことでお前に話があるんだけどな。」
そう言うと、アキラはいきなり真剣な顔をした。
「へぇ、面白そうな話か?」
「ああ、とびきりな」
「いいね、そういうのを待ってたんだ。こっち帰ってきてからヒマでヒマで。。。」
アキラは笑った。
「そういえば、エリカもこっち来てるのか?」
俺はひとつ気になっていたことを聞いた。
「ああ、来てるよ。あいつは浜林中に転入した」
「へぇ、そこに通ってんのか」
浜林中学校とは学園の左隣にある中学校だ。浜林中の学生の約2割が学園に来ており、俺も去年まで浜林中に通っていた。
「学校終わったら、家寄ってけよ。エリカが会いたがってるし、さっきのことで少し話したいこともある」
「ああ、そういやお前らどこ住んでんの?」
すると愛がニヤニヤしてこっちを見てくる。
「仁きっと驚くね」
初投稿です。
楽しんでくれたら何よりです。