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プロローグー4

「話を変えますが、朝鮮半島の開発はどうなっているのです。南満州も開発が進んでいるようですが」

 土方大佐はこれ以上、林元帥の話を聞くと危険すぎて引き返せなくなる気がして、話を切り替えることにした。

 林元帥も幾ら土方大佐相手とはいえ、危険すぎる話になったと気づいたのか、土方大佐に合せて話を切り替えてくれた。


「まず第一に2年前の1911年の正月から、東京からハルピンまでの直通列車が事実上は走るようになったのは当然知っているな」

「言うまでもありません」

 林元帥の問いかけに、土方大佐は打てば響くように答えた。


 あの件は本当にその時は話題になった。

 とうとう、東京からハルピンまで下関と釜山の2回の連絡船の乗り換えで行けるようになったのだ。

 後、10年もすれば東京からハルピンまでの直通列車が本当に走るのではという観測記事が新聞に載ったくらいだ。

 

 土方大佐からすれば夢物語だが、実際に日本国内の鉄道全てを広軌(世界的には標準軌)に切り替える話が国会でまじめに議論されている。

 その中で高唱されているのが、今の日本国内の鉄道は米国の技術を導入した南満州や韓国の鉄道に技術面で劣っている、

 今の日本国内の鉄道を広軌に切り替えることで米国の技術を導入でき、南満州や韓国にすぐに追いつけるという主張だった。

 いちいち比較するのは馬鹿馬鹿しいと土方大佐は思うが、韓国より技術面で劣る日本の鉄道と言う主張は国民にある面で響くらしく、日本国内の鉄道の広軌化はまじめに国会で議論されている。


「よく日露戦争から5年ほどでと思わなくもないが、金弘集宰相は韓国内の鉄道整備を悲願としていたからな。南満州鉄道の日米共同経営を見て、韓国内でも似た方法を採ることにした。韓国が4割、米国が4割、日本が2割の出資をした韓国鉄道公社を1906年初頭に設立した。その公社が韓国内で最初に開通させた鉄道が釜山から大邸、漢城、平壌、義州を経由する鉄路で、5年以内に全通させたわけだ。漢城から仁川に通じる鉄道も実際には同時開通したがな。義州から安東を経由して奉天に通じる鉄路は日米共同経営の南満州鉄道が建設している。それで、東京からハルピンまでの直通列車が事実上走るようになったわけだ」


「よくできたものですね。韓国は日本に感謝すべきですな。鉄道敷設には、日露戦争で日本に雇われた軍夫がかなり活躍したとか。安東から奉天への軽便鉄道敷設、大連、旅順から奉天への鉄道改修等々、日露戦争の際に日本は朝鮮人の軍夫を活用して鉄道を生かしました。そのおかげで韓国の鉄道敷設が順調に進んだと私は聞いています」

 土方大佐は皮肉った。


「韓国民は誰一人、日本に感謝せんだろうがな」

 林元帥は苦笑しながら答えた後で続けた。

「そして、その鉄道を活用して韓国は国内の工業化を進めるはずだったが、政治の混乱で思うようには進んでいないのが現状だ。具体的に言うと鉄道でまずは慶尚道、首都の漢城、平安道をつなぐ。そして、これらを重要な工業地帯として韓国は国内の開発を進めるはずだった。だが、実際問題として、例えば、平安道は李朝の経国大典でも差別された土地柄だ。幾ら重要な鉱物の産する鉱山の存在等があっても重工業化を進めるのには反対する国会議員は多い。他にも自分の地盤の地域開発が遅れるのは我慢できないという議員も数多いる。むしろ、独裁体制を敷いた袁世凱の黙認のある中華民国内の南満州の工業開発の方が順調に進んでいるくらいだ」


「となると韓国の政治体制がまともになったら、韓国の工業化は迅速になりそうですな」

「まともになればだがな」

 土方大佐の皮肉な口調がうつったのか、林元帥も皮肉った。

 ほぼ韓国内のことしか描けませんでした。

 次話に続きます。

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