6/11
011-012
【011】
ブランコから笑い声が消える。
影が長く長く背を伸ばす頃、
「帰ろう」と言ったのはどちらからだったか。
もう繋ぐ指もない街角に、
戯れに過去が手招きする。
ジャングルジムに置き忘れた
人待ち顔の小さなポシェットの
その色、センチメンタル・オレンジ。
【012】
寒い夜には、いつもよりお砂糖をいれてね。
とっても熱いから、ふーふーして飲んでね。
お星様が飛び込んだのは、気づかないふり。
湯気がレースみたいで、綺麗でしょ?
ママが隠したオルゴールの隣の
お気に入りのマグカップに入れた
その色、ミルク・ベージュ。