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009-010
【009】
プラネタリウムでいつも眺めていたのは
星空ではなくその無骨な機械だった。
ぐるぐる回る玉座に納まって、
そいつは望めばいくらでも流れ星を作ってみせた。
ミルキーウェイの下で思うのは
愛しいミクロの電子部品。
何億光年もの宇宙を詰め込んだ
偽物の創造主がまとう
その色、スター・ネイビー。
【010】
おおよそ性欲とは無関係のような
フリルを揺らしあなたは街を闊歩する。
着るのには召使が必要であろう
締めあげられたコルセット。
機能性より装飾を重視した厚底ブーツ。
あらゆるものを拒絶するあなたに、
私の脳内は侵食される。
現実から切り離されたあなたの
虚ろな眼差しの
その色、レース・ピンク。