そのご! 『悲しくない夢』
先程チェックしたら、PVが倍になってまして固まっていました。
な、なにが起こったんでしょう? バグですか、バグですかね?
と、とにかく! 読者の皆様には大感謝!です!
今回は少し短めです。では、どうぞ!
悲しくない夢を、久しぶりに見た。
その中で……あたしは幼稚園くらいの子どもになっていた。
お母さんとお父さんの三人で、食卓をかこっていた。卓上には在り来たりの夕飯、ハンバーグがのっていて。
お母さんは少し不器用だから、ちょっと不格好な形になっちゃってたそれを、『おいしいね』って微笑み合いながら、みんなで食事をしてた。
昔はこうやって、夕御飯だけは家族みんなでとってた。どんなに仕事が忙しくても、二人は必ず9時には帰ってきてくれた。
でも、あたしが小学3年生を過ぎてから、二人とも上の人に仕事が認められたとかで、残業が当然になっちゃうくらいますます忙しくなった。
《また今度ね》って言って、二人は三人で決めた約束を破るようになって。
そのうちに、その約束自体、忘れちゃったみたい。
誰もいなくなった家では、あたし一人で。
さみしいなんて言えなかった。
あたしと生活を守るために、二人は夜遅くまで無理して働いてくれてる。
早く帰ってきてほしいなんて、わがままだってわかってたから。
でも、それでもやっぱり、一人はつらくて。
それから、夢の中でも一人になるのを見始めて。夢が嫌いになった。
――サンタが嫌いになったきっかけは、あたしが初めて一人でクリスマス・イヴを過ごした、10歳のとき。
あの頃のあたしは、サンタがいるって思ってた。その前の年までは、翌朝起きたら枕もとに、自分が欲しかったものが置かれていたから。
その年も、次の日の朝にプレゼントがあったけど、こんなのはあたしが欲しかったモノじゃなかった。
あたしが欲しかったのは、イヴに前みたいに三人で夕飯を食べること、それだけだったのに。
その時初めて、サンタは両親によって創られた幻って知った。
今日の夢を見る前から、気づいてた。
あたしがその二つを嫌うのは、単なる八つ当たりなんだって。
でも、それでも、何かを嫌いでいなきゃ、親が望んでる良い子を装うことなんて、できなかった。
昔は、二つとも大好きだった。
夢は温かかったし、サンタも両親の優しさで生まれた存在で、いつも見守ってくれる人がいるよって安心感をくれたから。
けど、二つとも嫌いになれば、二人みたいに自分を変えられる境界線が引けるって、そう暗示をかけていた。
だけど、結局、何も変われなかった。
むしろ、押さえつけた感情が、一人だけあたしの中に取り残されて、ずっと置いてきぼりになってた。
あたしが自分自身に嘘をついて、誤魔化したから。
つぎはぎで偽っても、ガタがくるのは時間がかからないのに。
これからは、少しわがままになっても、いいのかな?
二人が帰ってきたら、お願いしてみよう。
そうすれば、きっともう、さみしくなんかないよね。
***
伊月ちゃんの夢と内情でした。
次で、「1月2日のサンタ」は一区切りとなります。
サンタくん視点の閑話と、続編を予定しているので、もしよろしければそちらもどうぞ。
では、今回も読んで下さり、ありがとうございました!