そのさん! 「チビ、変わってるな」
ふぁ!? ユ二ークPVさんがいらっしゃる!?
あああああありがとうございます!
今後もなにとぞ! なにとぞ宜しくお願いいたします!
今回はちょっとシリアス、注意かもです?
とは言え、コメディーはちゃんとありますよ!
ではでは、どうぞ!
「で、だ。俺もついでだからチビに聞くが、こんな時間まで何故起きていたんだ」
「え……」
「夜も明ける朝方近くまで、理由もなしに起きていることはないよな」
「それ、は」
急にどうして?
「……なんで、そんなこと聞くの」
「別に。気になったから尋ねた。それだけだ」
興味がなさそうに、サンタくんは視線をずらした。ほんとに、ただの気分で言っただけなのかも。
でも、気まぐれだとしても、こんなこと掘り下げないでほしい。
「もしかして、眠れないのか? だから成長が止まるんだ」
「ま、まだ止まってないもん! 絶賛成長期中だよ!」
「へぇ。一年に一ミリ伸びるようなのをそう呼ぶとは、初耳だな」
「~~ッ!」
な、なんなのなんなのっ!? 自分から質問してきたのに、からかって!
……なんか、考えて悩んでるあたしのほうが、バカみたいだよ。
「……違うもん。あたしは、眠りたくないだけ」
「なんで」
「…………夢」
「は?」
「夢が、嫌いだから」
誰にでも『嫌いなモノ』って、あると思う。
ただそれが、一つじゃない場合もあって。
あたしには、『嫌いなモノ』が二つある。
一つ目は、サンタクロース。二つ目は、夜寝ると見てしまう、夢。
あたしの夢は、昔から、ずっと同じ内容。
「……夢なんて、見たくないのに」
覚めても、ホッとしない。だって、どっちも状況はほとんど、差がないんだもん。
家に人がいないことには、変わんないから。
あたしの家庭は共働きで、両親二人とも自宅に帰ってきて言葉を交わすことなんて、めったにない。
いつもこの家には、あたしだけ。
――どうせ見れるなら、もっと楽しいのがいいのに。
サンタが嫌いなのも、同じ。
小学生の頃。 まだ、サンタがいるって信じていた頃。どんなにお願いしても、あたしが欲しい『プレゼント』をくれなかった。
普通の家庭なら、当たり前のことを頼んでいるだけなのに。
誕生日が何回か過ぎて、サンタがいないってわかっても、あたしはサンタが嫌いだった。
《サンタなんかいないんだよ》って、前もって大人が子どもにくぎを刺すくらいしてよ。
いないなら、最初から期待なんてしたくなかった。
だから、二つとも大っ嫌いだ。みんなには優しくしてるくせに、あたしには厳しい現実だけ押しつけて。
あたしも、ちょっとは、淡い希望を持っていたかったもん。
「……あ」
ついつい言っちゃったけど、失敗だよ。
理由なんて、話すつもりじゃなかったのに。
チラッとサンタくんの様子を恐る恐る見たけど、彼はあっさりと感想を言った。
「そうか。チビ、変わってるな」
「え? ……そ、それだけ?」
「他に何を言うことがある」
サンタくんは訝しそうにあたしの顔を観察してる。なんであたしがこんなことを言ったのか、わかんないみたい。
戸惑ってるのは、こっちのほうだよ。
夢が嫌いなんて子供じみた主張だってことは、一応理解してる。そのことを伝えた友達にからかわれるのが普通だった。それで、自然とあたしは寝れない理由を隠すようになった。
だから、彼が返してきた反応はすごく意外だった。
「バ、バカにしないの?」
「当然だ。チビにとっては真剣な問題なはずだ。それを笑うほうがバカに決まっている」
これでも最低限の礼儀くらいは知っていると、サンタくんはピノキオ並みに鼻高々に告げた。
「…………ふぅん」
「なんだ、チビ」
そういうことは、しっかり気を配ってるんだ。
何も考えてなさそうなのに。
「本音、口にだしてるからな」
「痛ぁい! だ、だからっ殴らないでって言ってるのに!」
こ、今度はゲンコでされた! 暴力的すぎるよ、サンタくん。カルシウム足りてないんじゃないかな?
……で、でも、あたしの気持ちのこと考えてくれたから、いっか。
次の話で、一気に物語が展開します。
読んで下さって、ありがとうございました。