唐突になにかはじまった?
「佐山さん、真護さん一緒じゃないんですか?」
学習室の入口で、清野が佐山に声を掛けた。
「なんか、忘れ物したから先に行けってさ」
黒のふわりとしたパフスリーブのミモレ丈のフレアワンピースで、胸元にフリル。ロリィタテイストの服にそぐわない厳ついの金属のリュックを背負っている。
「そうなの、佐山さん手を出して下さい」
両手を出した佐山の手に、スプレーから液体を吹きかける。
「こういうのまだやるんだね」
「えぇ、そんなとこです」
納得して教室に入る佐山の背後で、シュッとしてる音がする。
クラスのほとんどがすでに集まり、ガヤガヤしている。
清野も中に入ると後ろ手にドアを閉め、入口すぐの席に座った。
佐山は窓側の空いていた席に座る。
正面にスクリーンがあり、しばらくするとそこに映像が映った。
「!」
椅子に縛られた神矢だ。
『ようこそ。若人よ。今からその躰をかけてゲームをしてもらう。こちらの出すお題をクリアするだけの簡単なゲームだ』
ボイスチェンジャーで話す謎の男は、神矢の髪を掴んで前を向かせた。
「あぁ」とクラスメイトが声を漏らす。
『勿論、お題をクリアできなかったら罰がまっている。例題は彼にしてもらおう』
佐山は違和感を覚えた。
捕まっているはずの神矢の表情がおかしい。
『この拘束を解け、制限時間は3・・・』
『はい、ク〜リア』
ロープがパラパラと落ち、両手を広げて立ち上がった神矢と同時にカシャンという音と共に、カメラが倒れた。