サマードリンク&サマードリンク 3, 親友って何ですか malia
マリアです
「うわっ!!ハーフ人だぁ!!」
「逃げろォォ!菌が感染る!!」
頭の中で、忌々しい奴らの声が聞こえてくる。
ハーフだからって何よ。何が菌?お母様とお父様を馬鹿にしないで。
お父様がお母様と結婚したのも、訳があるのよ。人の気も知らずに言うんじゃねぇ。
私は汚い人間だってこと、誰が認めたのよ。
自分で綺麗だとは思ってないけど、汚い人間って言われるのが、嫌いなの!
私は、私は_____。
「マリア、食べないの?」
「____!!」
はぁ・・・またか。白昼夢みたいなもの。
恐ろしいわ、この夢。
「優華、ありがとう。食べるわ」
「また見たのー?白昼夢」
「ん〜そうね、随分と短かったわ」
「アハ、そうなの」
「えぇ」
現在時刻12時半。
生徒達で机と机を合わせて昼食を食べる時間。
「焼きそばパン美味〜。お母の弁当より美味い」
「優華・・・」
七森優華。私の親友。
私がハーフだってことを気に入ってくれた。
『え?ハーフなの?お父さん?お母さん?どっちが外国人?日本人と何人のハーフ?』
優華は私の事が大好きになったみたいだった。
女同士の恋愛。
優華ただ一人が、私を『菌』と呼ばず『マリア』と呼んでくれた。
私の白昼夢のことだって、心配してくれたのは家族と優華だけだった。
「おい、ばい菌。その弁当頂戴」
「えっ?」
声を掛けたのは加藤百恵。と、その集団。集団の中にはフミコや理恵だっている。
でも悪そうな顔をしてるのは百恵と、周りの男子。
百恵には最強の味方、フミコ&男子がいる。
フミコは空手、男子は握力で潰す。
だから私たちは一回もこの軍団に勝ったことなんてなかった。
「何それ?フランス料理?美味しそうねぇ〜。あと、その・・・高級そうなりんご。うん、デザートにはお腹いっぱいね」
「百恵様、どれ奪う?ねえどれどれ?」
周りの男子が興奮して私の弁当をガン見している。
はぁ、毎日、何回やったら飽きるのかしら。
「全部よ、お前達。____ん?その不味そうな唐揚げは除いて。欲しくない」
「へぇ!了解です百恵様!!」
男子達が私に一斉に飛びかかる。
弁当に入っていた唐揚げを机の上に放り投げ、弁当箱丸ごと持っていった。
「ちょっと!辞めて!」
「いいねぇ、悲痛な叫び声。フッフッフ・・・」
「ぐへへへへへ・・・」
「ねぇ!返して!私の弁当なのよ?!」
「どれ一口・・・」
百恵は、リンゴをシャキシャキと音を立てて食べ始める。
く・・・!!憎い!
「んん、美味しいわ。普通の農家では取れないわね」
「ええ〜?!そんなに美味しいの?!百恵様!」
「お前らはその唐揚げを食いな」
「え〜〜!」
唐揚げ!
なんで・・・!!
あいつら、食べ物を粗末にして・・・!
「この唐揚げは私のウチの近くにある、唐揚げ専門店さんの唐揚げよ!!」
「・・・アンタばい菌のクセして生意気ね」
「だよね〜百恵様」
「敬語使ってよね?私の前では。この百恵様が言うんなら聞くでしょ?」
百恵・・・。
言うこと聞かないと、クラス中の笑い者になる・・・。
恥ずかしい。けどしなければ。
「加藤百恵!!マリアに何する気?!」
「優華!」
「ほぉ・・・七森優華。庇うか?この菌を・・・」
「馬鹿にしないでよ!私の友達よ!まだ『親友』には行きついてないけど・・・一応、友達よ!!アンタがマリアを馬鹿にするのと、私がマリアを馬鹿にするのは違うから!」
え・・・・・?
「フン、もういいよ。今日はこれくらいでまけてやるよ」
百恵達は男子と共に、去って行った。
「マリア!大丈夫!お弁当・・・」
「_____」
「お弁当、置いてったよ。ハイこれ。ごめんね、私何も出来なくて・・・」
「___もう、いいよ、優華」
「_______え?」
やっぱり私の親友____。
「そうやって作り笑いしてるでしょ、いつも。私を百恵から守るのも、何か理由があるんでしょ。本当は___優華だって、百恵の味方でしょう」
「_______マリア、何言って____」
「前、見たんだ。優華と百恵が話してるの。『取引』___してるでしょう?私、いつも弁当とかこうされてるけど、『いじめ』に及ぶ被害は受けてない。これって、優華のおかげなんでしょ?私、罠にかかってるんだよね」
優華が、私と友達と言うふりをして、私を安心させる。そして油断したところで、私はボコボコにされる___。
「今私と優華が縁を切ったら、私___、いじめられるよね。だけどさぁ、優華。ホントは騙してるの、百恵でしょ?」
「_____!」
「私を罠にかけるつもりなんて、最初からないんだよね・・・。百恵を騙して、私を守ってくれてるんだよね___」
自然と、涙が溢れて来た。
そんな私の姿を見て、優華は笑いかけてくれた。
「マリアさ、酷い目にあったよね___。今まで、『菌』扱いされて、本当に可哀想だった。でもね___、私がマリアについて回る様になった時、マリア凄く嬉しそうだったよね」
「うん____」
「だからね、私。ずっとマリアの側にいるからね____」
親友は、この世で一番心の支えになるわ、永遠に。
裏切り〜〜!!www