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サマードリンク&サマードリンク  作者: ご飯はラーメン
2/3

サマードリンク&サマードリンク 2, 春の微風 Rie

本日は理恵目線です。

 中学校までの道のり、桜の木の葉が、ヒラリヒラリ落ちていく。

冬でもないのに、今日は一段と寒い。分厚いピンクのコートで身を包んでいるから、ちょっとはマシだけど___。



     1


「理恵、おはよう」

「おはよう」

 中学生になって一ヶ月経った。その間に大したことはなかったけど、中学生初めての友達が、『渡辺フミコ』。席が後ろと前という関係だけで友達になれた事が奇跡と言いたい。

「コート着てきたの?めっちゃ可愛い」

「え・・・そんな、普通だよ」

 フミコは『めっちゃ』をあげて言う。

少し喋り方が、訛ってるところがフミコちゃんの長所。

「私なんてお父さん厳しいからさ〜、こういう薄いパーカーしか買ってもらえないんだよね〜。羨ましい」

「そ、そうなのかな」

 フミコちゃんは幼い頃に母親を亡くしているので、男手一つで育てられたガチガチ強い女の子。見た目も頼りあるし、空手を習ってるところから『強い』と言う印象がある。

「まぁ授業中は脱いでていいし・・・、関係ないね」

「私もコートじゃ暑いかな」

「ハハ、そりゃそうだね」

 私が席に着くと、フミコも席に座った。

「テストとか、まじで・・・」

「勉強しなきゃだねー」

 机の上に既に配られているさんす・・・数学のプリントに手を付ける。

「朝から勉強まじダル。ねぇ、理恵」

「うん・・・朝勉して来たから頭パンパン」

「えっ、家で?」

「うん、少し」

「優等生がする事だよ」

「中学生だからね」

 一学期の最初の頃は、小学生のまとめで簡単だった。

だけど最近習ったモノは爆発するほど難しい。

 数学の先生は計算が早く、優しい。

でも舐めてかかると大変な事になる。

 プリント、プリント、問題集、問題集・・・。

「ふわ〜〜〜、眠ーい」

「____寝れてないの?」

「まぁね。朝から空手してて。父にぶん殴られた」

「?!可哀想。大丈夫なの?」

「数年やってるし、こんなのへっちゃら。屁みたい」

「屁・・・!」

 フミコは、強い。心も体も全部。

鍛えられてるんだ。

「・・・・てかさ、藤谷来ないよね」

「藤谷亮平君?」

 亮平君は三週間前から不登校だ。

訳は___。

 クラスメイト全員が震え上がった瞬間。

亮平君は小林先生に、嘘をついた。

 授業でやったまとめプリントを、セコイ手で通過した。

『通過』って言うのは、プリントの答えが合ってるか確かめるために先生チェックをする。教科は国語。亮平君は国語が大嫌いなので、何としてでも通過したかったらしい。

『セコイ手』の詳しい情報は得てない。

 なんかカンニング如きではない、大ごとだったらしい。

「先生に怒られて不登校て・・・マジ?」

「フミコちゃん、仲良かったの?」

「東小の時からね。私の事ちょくちょくからかってくるおふざけ系男子」

「小林先生、怖かったね。やっぱ舐めちゃダメだ」

「うーん、怖いというのは『大声で説教』より『小声で説教』に近い感じ」

 同感。

小林先生を怒らせると、大変な事になる。

 亮平君みたいになりたくない。絶対に。



   2


「あーー!!疲れたよ!!」

 フミコちゃんの声が、美術室に響く。

「授業でやった分、放課後やるってどーゆー事やねん!!」

「う〜〜〜、私、絵下手なんだよね」

「人間!!人間無理!!」 

 美術室に残されたのは私とフミコちゃん二人のみ。

寂しいし、心細い。フミコちゃんいるのに___。

「花・・・よし、出来たよ、完成」

「えぇ?!理恵、はっや!!待ってて〜〜!」

「うん。コート着て、待ってるから。焦らないで」

 美術室用の椅子に掛けておいた桃色コートを手に取って、腕に通していく。

窓から見える景色は、とても綺麗だった。

 桜の木が夕焼け太陽に照らされ、美しい。

「___!理恵のコートと、桜お似合いだね」

「?____ほんと?」

「うん、なんか似合ってる。姿が重なってる」

「褒め言葉、それって」

「勿論勿論!理恵、顔とスタイル良いから綺麗な桜が似合うんだよ」

「!」

 褒め言葉なんて聞いたの、久しぶりだなぁ・・・。

家族みんな妹にべったりだもん。

 フミコちゃんってやっぱり____。

「手、動かしなよ」

「はっ!!忘れてた!」

 フミコちゃんは絵の具の筆を動かす。

私はフミコちゃんに背をむけ、目に写る桜を見つめる。

 フミコちゃんにバレないように、目に溜まった涙をそっと手で拭った。



























算数と数学の違いってなんでしょうかねー。

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