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第六話【一角兎は敵にあらず】

荒れ果てた荒野になり果てた一角に座り込む。


とりあえず精神を統一させれば、魔法力は回復する。


全快とまではいかないが、ある程度回復すればいい。この力を使えば軽く一掃は出来るはずだ。


問題点としてあげるのなら、この力を見て襲い掛かってくるホーンラビットが居るのかどうかだ。


「やりすぎって言葉を知らないのか?」


『こちらも出力を考えなくてはならないな』


あれで全然本気じゃないのがやばい。あれ以上出されると俺自身の命も尽きるから勘弁してもらいたいんだが。


「そういえば、攻撃以外のことで魔法力を引き出すことは可能か?」


ドラゴンと言えば、圧倒的制圧力のあるブレスに翼による風起こし。


攻撃面ばかり強調されている伝記はたくさん見たことがあるが、細かいこと――例えばサポートとか防壁のようなものを使っているものを見たことはない。


強いて言うならミスリルやダマスカスといった最高級武具よりも堅い鱗くらいだろうか。


「お前がベースなことを忘れるな。お前自身が出来ることは何でもできる。逆に条件が整わなければ、お前の知らないことは出来ない」


なるほど。あくまで俺の魔法力の底上げにしか使えないってことだな。条件ってのは良く分からないが、使うこともないはずだ。


ってことはこういうこともできるんだろうか。


「生命探知!」


俺のできる生命探知は微弱なもので半径1メートル程度の動いているものしか判別できない。


「うああああっっ!?」


今まで点でしか見えていなかったものの姿形がはっきりわかる。もう一つの風景、俯瞰した景色が眼前に広がる。


生命探知の精度が格段に上がっている……だけじゃない。範囲も拡大されている。俺のさっきまでオヤジが何をしているかも認識できる。


『この森全体に絞れば、そこまで神経は使わないぞ』


「くっそ、言うのがおせえ!!」


できるだけ範囲を最小限にするように狭めることをイメージする。


引き出す魔法力が強すぎたのが問題だ。だから絞れ、もっと絞れ……!


先程より遥かに鮮明に、そしてボスらしき一角兎ホーンラビットも見える。


「……近づく必要ってあるのか?」


近づこうとした瞬間にふとある考えがよぎる。


ここまで視えているんだ。俺から歩く必要はないのでは。


色々な魔法が使えるのはもうわかっている。火炎弾だと周りの木を燃やしてしまうかもしれない。


一瞬で消滅出来るような、それでいて直撃しなければ燃えない形に……いやそれは仕方ないか。


ある程度の開き直りが必要だ。良し、行くか。


「稲妻の叫びを聞け! 電撃矢サンダーアロー!」


弓矢を構える形で、矢だけが雷が迸る矢となり番えた矢を放つ。


刹那、狙った獲物に吸い込まれるように深奥へと矢が消える。


瞬きをした次の瞬間に、天空から雷が降り注ぐ。俺の生命探知にも、もう引っかからない。


生命探知をもう使う必要もない。なぜならあの一撃でボスはもう倒しきっているはず。


アレを見て俺に襲い掛かろうとはしないだろう。


「わぁお……」


『今度は制御できたようだな』


今回は森の被害は抑えれたようだ。本当にそこに居たであろうウサギの丸焼きがある。


「へへっ、森は焼けなくてよかったよ」


『ふ、討伐の目的はほぼ果たせたんじゃないか?』


確かに言われたとおりだ。最初の火炎爆発エクスプロージョンのせいで体力自体は結構消耗しているからな。


でもでかいな。30㎝ほどの大群が迫っていたさっきの状況とは違ってこいつは2mくらいある。


なるほどな、こいつくらいでかけりゃ倒すのに手間取るもんだ。


直接対峙していればビビったかもな、と思いながらどう持ち帰ろうか迷う。


「いや、まさかな」


恐る恐る空間に手を伸ばし開く。


「やべえ開けた……」


とりあえずそこに一角兎ホーンラビットの親玉を放り込む。


以前この空間断裂ディメンションリリースを試したときは指先程も空間は動かなかった。


開くことさえ不可能だから出来るとは思っていなかったが、これが出来るとなれば物の持ち運びは楽だな。


筋力増強ビルドアップの魔法を使って、楽々と持ち上げ空間に放り投げた。



――さて、酒場のオヤジのところに行くか。

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