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第四十七話【折る戦い・折られぬ心】

刹那の打ち合い。それだけで感じ取る物は多い。


死を予感させられた。これはあまりない経験だ。


ドラがいなければ、致命傷以上のものを負わされただろう。


『案ずるな。知識と経験で敵わぬと思えば、我が必ず力となる』


その言葉だけで有り難い。だが、その言葉に頼りっきりにするわけにもいかない。


自分でドラの力を引き出して勝ちたい。些細なプライドだけど、こいつと共に生きていくと決めた時からそう思っている。


全部が全部ドラの力と知識に頼っていれば、ドラと一緒にいるのは俺でなくても良くなってしまうから。


俺の価値は勝利で示せるというわけでは決してない。しかし、この勝ちは自分に自信をもたらしてくれるはずだ。


色々と試行錯誤をしている間の隙をプレイは突いてくる気配を見せない。


気配を見切れないだけかと思っていたが、どうやらそうでもない様子だ。


つまりは、こいつは間違いなく俺を見てから動く方針のようだ。


なぜ――?



『……アポロ。折れるなよ』



ヒントのような一言。折れるな、か。


どうしてそういう発言にドラが辿り着いたのか。


俺が折れるっていうのは、負けるってことか?


いや違う。負けるってことは、ほぼ死を意味している言葉だ。


重体以上になるのは間違いない。物理的に骨が折れるかもしれないが、ドラが伝えたいのはそういうことではないはずだ。


あいつは俺の技を突破して、攻め込める状況なのに攻めてこない。


俺の隠された能力――ドラを警戒?


それもないだろう。それを知っているならこんな待ち方はしない。


ドラの方が絶対に格上だから。



「そういうことか……」



相手の行動原理を理解した。まだまだ冷静さを欠いていない相手だから100%というわけではない。


だけども、今も攻撃してない事から奴は待ちの態勢を崩さない。


さっき打った炎の壁と炎弾、そして風斧の真空波も防がれた。


撃ち込まれるカウンターは全て杖から繰り出されている。


接近戦とカウンターが得意なのことは間違いない。


これは技術面の話。


精神面では、相手の攻撃を完全に切り返すことによって、相手の精神を折ろうとしている。


何をやってもこいつには勝てないと思い込ませれば、相手は己ずと引き気味になっていく。


逃げ出せば必要以上に追う必要は無いし、疑問を抱いた相手の撃退方法はすでに熟練の域なのだろう。


迷いは判断を鈍らせる。戦闘において絶対に迷ってはいけないのだ。


迷いと思考は似て非なる物。そうとわかれば、やることは決まってくる。



「さて、考え事は済んだのかな?」


ゆらりと杖を構え直す。後の先はとられてはいけない。


魔術詠唱中にも当然攻撃してくる可能性はある。もちろん、俺の見立てでは打たせてから動くだろうが。



「色々試すしかないよなぁ!」



両腕に力を込める。魔力を回す。鳥人プレイを倒すために――!

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