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第三十九話【子供、大人】

いつの間にかに眠っていた。本を片手に眠りについていたようだ。


ブックちゃんは本の中に姿を隠している。寝るときは無防備な姿をさらさないようにしているんだろうな。


一応、視てみるとしっかりと防御魔法を使っている。


外敵から身を守るためなのか、それともこれを解くほどの人がいるのを待ち望んでいるのか。


俺は間違いなく後者だっただろう。火系の魔法を食われたのは衝撃的ではあったが。


「ドラ、あの時打った火弾フレイムバレットは本気だったよな?」


俺の打てる範囲内の話という前提ではあるのだけど。


『あぁ、私は制限などはしていないし、これからもする予定はない』


だろうな。そもそもあの時点で手加減をする必要がない。


やっぱり本を蓄えれば蓄えるほど強くなっていうのは、本当だったんだな。


それに加えて俺は同等以上の敵との戦闘に慣れていない。


格下には十分すぎるくらいの魔力量で圧倒できるけど、技量が上の相手にはそうはいかなくなる。


真牛人ネオミノタウロスの時はクネスが倒してくれた。


だが、俺は満足にサポートをすることもできなかったな。相手の力量を見抜くこともできなかったし。


虹の根元のうわさが本当で、俺自身の魔力保有量や、何かを掴むことが出来たら……。


ひょっとしたら虹の根元を売り捌き、金銭が手に入る可能性もある。


色々な理由を加味すると行かない理由がないか。何もなければそれはそれでかまわない。


他の有益な情報は手に入れることが出来なかった――というよりは、俺が書物を読んでいる最中に処理しきれなくなったが正しい。


昔だったら、母親に起こされていたかもしれないけど、それがないってことは俺も大人になったもんだなとしみじみ思う。


ベッドに乗りながらとはいえ、寝落ちして無理な体勢で眠っていたからか身体が痛い。


ノビをすれば全身の骨がパキパキと悲鳴を上げている。


山登りか。それで俺自身の筋力や体力アップも悪くない。


時間もそれなりにかかるとは思うが、夜読んだ書物には一度見た場所に飛べるっていう便利な魔法もあった。


できるかどうかはわからんし、眉唾でもある。それに古代の魔法云々は魔法力の消費が激しく著しく疲労するという欠点もある。


簡易的に移動できる魔法は、得てして何故か消費量が多い。


でも、それはそれで当たり前かという気にもなる。


どこにでも簡単に行くことが出来れば、暗殺も軽く可能になるし、使った後はある程度動きを鈍くすることに重きを置いたのかもしれない。


山の下見に行ってもいいのかどうか。両親が何か俺に頼んでくるかもしれない。



「行ってもいいぞ、肉系の魔物よろしく」


「いい経験をしてきなさいな」



一瞬で許されてしまった。


心配とかそういうのはないのか……?


いや、あれか。俺は、もう昔の子供のままじゃないってことだな。



ならばやることは決まっている。


――虹の根元を見つけに行こう。

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