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第三十八話【虹の根元へ、いざ行かん】

ドラは心当たりあるか? と心の中で聞いてみる。


『そういう地があるのか。私は初耳だな』


そうか、空を翔ける龍が小さな山なんてどうせ気にしないだろうしな。


人間単位ではそびえたつような山だったとしても、ドラゴンにとっては大したものじゃない。


地面と何ら変わりない……は言い過ぎかもしれないけど、それくらいの些末事でしかないということだ。


「ブックちゃん、虹はドラゴンの通り道の後に続くって聞いたことがあるんだけど、どうだったっけ?」


「そういう説もあるということだけは知識として認識してますネ」


それでも、実際どうだろうかということを教えてくれた。


あるとすれば、魔力濃度が高すぎるせいでその残滓が虹色に見えるということくらいか。


これが昔の話であるとすれば、きっとドラの魔力の残滓であってもおかしくはないだろう。


それぐらいの力があってもなんら不思議ではないのがドラの凄いところではあるが。


もしも、ドラの魔力だとすれば、それを手に入れてドラの力を蓄えることもできる。


目的に一歩近づくことが出来るってわけだが――――


「そんなに、上手くいくもんかなぁ」


「……事情は聴きませんが、お父様とお母様を悲しませないようにしてくださいネ」


きらりと目が光る。ブックちゃんにとってもこの家は居心地がいいのだろう。


そりゃあそうか、いるだけで無限とまでは行かないがそれに近いくらい書物が手に入るんだもんな。


「なんか失礼なことを考えているようにお見受けしますガ?」


「いや、ブックちゃんが居ればそこそこ安心できるなって」


実際そうだ。何者かに襲われたとしても本をかなりの数内包しているブックちゃんなら安心が出来る。


こいつがやられる事態があるならそれはSランク……つまりは災害認定クラスのモンスターとの戦闘だ。


正直、炎の精霊イフリートくらいなら圧倒できるだろう。そもそもドラの魔力を込めた俺の炎も食っちまったくらいだし。


属性相性を超越している奴が味方なら、これほど強い味方もあるまい。


「あの炎、あなたの魔力以上の力が出ているのを検知していまス」


「偶然だろ、何らかの本との反応とかさ」


しらばっくれる。教えても大丈夫そうだけれども、知らなければもっと大丈夫だ。


極力リスクは排除して行きたいから、ここはこれで正解のはずだ。


「いいですヨ。聞きませんカラ」


込み入った事情を理解してくれる、優秀な魔物だな。


行くべき場所に迷えば、ここに戻ってくればいいか。なら俺は、キングマウンテンに挑もう。


いいな、ドラ。


『虹の根元が一応気になってはいる。まさか、いや……』


ドラは何か思案しているが、まずは登頂できるかどうかと言ったところだ。


憂うのは登った後でいい。


「ありがとうな、ブックちゃん」


「山にいい本があったら持ってきてくださいネ」



――流石に山に本は落ちてないだろう。

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