表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/48

第二十話【新たなる悪意】

視界が奪われた。何も見えない。


――だが、この光は……いや魔力は暖かい。温もりを感じとれる。


俺の身体にも自然と馴染むこいつは、ドラの魔力の残滓だろうか。


視界が開けてくると、湿地帯に一人たたずんでいるだけだ。


特に何かが変わったわけではない。だけど、充満していたはずの拒絶の魔力はすでに消え去っている。


俺はソレを取り込んだ……? いや違うか。ドラが回収したのか。


グッと手を握れば、魔力が引き出しやすくなっている。


ドラの魔力が引き出しやすくなった――つまりは、ドラの魔力量が増えたと言っても間違いではないだろう。


「……こういう場所が他にもあるのか? ドラ」


『私の思いつく限りではここくらいかな』


それは残念だ。こういう魔力の貯蔵庫みたいな場所があれば、それを回るだけでドラを解放できたかもしれないのに。


まぁこれだけ収穫があれば、色々と考えなければならないことがある。


一つ、ドラの魔力スポットがないにせよ、こういういわくつきの場所では、魔力の源を吸収できる可能性がある。


そうすれば、俺はともかくドラに魔力を供給することが出来る。


俺と繋がっているとはいえ、いつ途切れるかもわからない。この魔力供給もいつまで続くかはわからない。


リスクは常に存在している。だからこそ、魔力は十全にしておきたい。


エーズィーの洞窟に行くのは、護衛でもない限り不審がられる。そういう綻びから王国にバレた際どうなるかも定かではない。


まだ、全ての世界を見せていない。こいつと一緒に居る世界は、正直俺にとっては心地がいい。それだけなんだ。


「あれ、そういえば視界は共有できるって聞いていたが、味覚とかは共有できるのか?」


『味覚……考えたこともなかったな』


そうか、食を楽しむのは人間くらいか。血の味とか美味しいっていう魔物は居るにしろ、楽しむ余裕もなかったか。


「宿場に帰ったら試してみるといい。人間の食いもんは美味しいからな!」


『楽しみにしておこうか』



湿地帯から出る。辺りは暗闇に満ち溢れている。


速度を上げて帰るか、魔力をあげ――


「見えるか?」


『……アポロ。強くなったな』


影が一つ。こちらに高速で襲い掛かってくる。


「はぁっ!」


剣で飛来物を叩き落とす。


「今の一撃をかわすなんて……やるじゃん?」


「誰だ、お前は」


投げナイフを視認し、間違いのない悪意を読み取った。



「名前、言うわけないじゃん? でも、殺させてもらうよアンタ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ