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第十九話【秘められし場所】

「あらかた見終わったけど、どうする?」


城下町に入るのはおおよそ不可能。可能性がないわけではないが、余計な波風を立てるのは俺にとっても、ドラにとっても良いことではない。


この荒野で見るべきところは一通り見たといったところ。


ドラがもう少し感傷に耽りたいと言うのならば、別に構いはしない。


今日はドラのために時間は空けている。俺にばかり付き合わせて申し訳なかったと思うよ。


なんせ、こいつの願いは世界を見ることなのだから。もう一度世界を見せてやるのが、俺の役目だと言う事を忘れてはいけない。


『もう一か所見たいところがある』


「お安い御用さ」


荒野から随分離れた、湿地帯に辿り着いた。ある一定の魔力量がないとここには入っていけないことになっている。


恐らくは、ここで戦闘になると足を沼に取られたり、視界が悪かったりと被害に会いやすいせいだからだろう。


俺のランクでは問題ない……が、足場は悪いし何か近寄りがたい雰囲気がある。


この奥も一応調べ尽くされているのは間違いない。何かしらの手が入っていてもおかしくはないのに、未だに手は付けられていない。


戦場の荒野と同じように、故きを温ねて新しきを知る……ということなのか?


荒野含めて、流通の通りをよくするために改善してしまえばいいのではと思う。


『アポロ。良く眼を凝らして見ることだ』


ドラが一息ついている。なるほど、何かがあるってことだな。


魔力を眼に通す。そうすると、普通の状態では視認できなかった、魔力の粒子が浮いている。それも指向性がないからただの魔力の素……?


『そこまでは見えているようだな。だが、もう一つ先を視るんだ』


「もう一つ……先……」


さらに強く先を視ることに集中する。指向性がないように見えたそれは、綺麗にコーティングされた膜に過ぎない。


その奥を覗き見るように、解き明かしていく。そこにあったのは拒絶の意思。それが自動的に働きかけているものだ。


『そうだ。良く視えたな』


「こ、これは……?」


明らかに意図的に隠蔽されている何かがここにはある。それがこの人除けの魔法で窺い知れる。


この湿地帯は、どちらかというと魔物側に位置している。この場所を占領していたのは魔物。だが、今は無法地帯。


何かを恐れたのか、ならばなぜ手を加えない?


まさか、ここには何か根底を覆すものがあるのか?


色々な思考がぐるぐると堂々巡りを繰り返す。最悪と災厄と、様々な危険性が回っている。


『思慮深いのは結構だが、そういうものはここにはない。あるのならば、王国はもうすでに手を打っている』


確かにそうだ。それじゃあここには何があったんだ?


宝物のような完全なる物は間違いなく回収されるはず、なればこそ、ここという場所にピックアップされる。


「この場所自体に……価値がある……?」


魔力を通した眼で全体を見る。湿地帯の中心から零れる光の束が視えだしてきた。


『それを触ってみるといい』



恐る恐る手を伸ばす。その瞬間、俺の身体は光束に包まれた――


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