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1話 村人A

これからよろしくお願いします。

 職業(ジョブ)

 この世界では、神から告げられる職業によって生き方が決定づけられる。


 この世界では、職業(ジョブ)は多岐にわたる。

≪剣士≫や≪魔法使い≫などの戦闘職。

≪鍛冶師≫や≪神官≫などの戦闘をサポートする職。

≪パティシエ≫や≪大工≫などの生活を支える職。

≪剣聖≫や≪賢者≫などの伝説級の職。


 この中で最も人気なのが、戦闘職だ。

 外界にモンスターがはびこる今のご時世、彼らはとても優遇されている。

 危険を冒して、平和を守っているのでそれぐらい当然かもしれない。


 また、職業(ジョブ)に適した派生スキルが発現していくため、

 自身の将来の歩み方を決定づけるものであり、この運命から外れることはまずない。


 職業(ジョブ)適性が開花するのは14歳になる年とされており、

 毎年4月には、少年少女がそれぞれ自分の職業適性を教会の神官に占ってもらうのが恒例だ。


 この日で将来が決まるといっても過言ではないため、子供も親も一喜一憂する忙しい日だ。

 僕、ルクスもその一人だ。

 緊張しながらも、ゆっくりと教会へ向かう。


 (できれば≪剣士≫であってくれ……!)


 僕は幼いころから、家の本棚にある冒険譚を読み漁ってきた。

 少なからず冒険者に憧れがある。

 いや、自分は将来きっと冒険者になって人々を守るんだと信じていた。


「ルクス。緊張してる?」


「……してない」


「してるでしょ?」


「僕は戦闘職を授かるって信じてるからね」


「ふーん、その割には顔色悪いよ?」


「そんなことない」


 意地悪な笑顔を浮かべながら、隣を歩いているのは幼馴染のリサだ。

 緊張しないの?

 将来が決まるんだよ?

 そんな疑問を彼女に抱きながら歩いていると、異様に視線を感じた。


 それもそのはず。

 リサは贔屓目なしで‥‥‥可愛い。

 なのに僕は地味だ。

 しかも、彼女は僕といつも一緒にいるので、

 昔から僕の周りにはいつの間にか敵が多いし、僕は村で同性の友達がいない。

 幼馴染なだけだよ?


 (はぁ…勘弁して)


 街の教会に着いた時には、すでに多くの子供が集まっていた。

 なかには親が同伴している家庭もある。

 この儀式は、親がついてくることも許可されているようだ。


「ルクスの親は、ついてこなかったの?」


「あぁ、仕事が忙しいし、たぶん息子も生活職だろうってさ。」


 うちは母親が≪美容師≫、父親が≪大工≫という思いっきり生活職の家系だ。


「リサの方は?父さんとかついてきそうなのに」


「父さんは、村の外にでたってモンスターを狩りにいっちゃった」


 リサの父親は≪戦士≫だ。

 僕たちの村は少し離れに位置していており、戦闘職の数は多くない。

 戦闘職を授かった人は学院へ入学し、冒険者を目指すための教育を受ける。

 その後は、冒険者として任務を請け負う形で各地に派遣される。

 

 だが彼女の父親は、数少ない戦闘職として村を残り、警備をしてくれている優しい人だ。

 

 そして……親バカだ。

 リサのことを溺愛している。

 ・

 ・

 ・

「次の方どうぞ」


 話しているうちに俺たちの番が来たようだ。

 リサがまず前にでる。

 彼女は緊張などしてない面持ちだった。


 神官が、目の前の水晶に手をかざしている。


「こ、これは…」


 神官が動揺しながらも、ゆっくりと口を開き、リサの職業を告げた。


「……あなたの職業(ジョブ)は≪聖女≫です。」


 聖女。

 治癒魔法を扱える職業の最上位にあたるものだ。

 大きな災厄がやってくであろう時代に1人だけ現れるという伝説の職業の一つだ。


 たしかにリサは昔からなんでもできた。

 容姿が良いだけに留まらず、頭脳明晰、運動神経抜群で愛嬌まであった。

 何もかも僕とは大違いだ。


「すげえええええええ!!!」


「≪聖女≫って伝説なんじゃないの?!」


「村の誇りだ!!」


 子供、大人関係なくあちこちで歓声が上がっている。

 お祭り状態ってやつか。

 それもそうだ。

 そのぐらいリサの才能は素晴らしいものであった。


 一方リサは……堂々としていた。


「当然!」


「リサさん。全ての人の判定が終わり次第、私のところにきていただけますか?」


 僕が聞こえたのはここまで。

 リサは得意げにしている中、神官から声をかけられ、話を聞かされていた。


 話が終わってすぐ、リサは僕の所へ駆け寄ってきた。


「どうルクス! 私すごいらしいよ!」


「俺も負けないぐらい立派な職業(ジョブ)を授かってみせるさ」


 内心、リサの結果に驚きながらも僕も対抗心と淡い期待を抱いていた。


「次の方~」


 神官…なんか適当になっているような気がする。

 そんなことを考えつつ、僕は神官の前に立った。

 周りの人の興奮冷めやらぬまま、僕の順番になったので、

 観衆はまた凄いのがくるのではないか、と注目しているようだった。



「これは……」


 お!

 これはリサの時と同じ反応じゃないか?

 僕は、目を見開いて前のめりに神官の声に耳を傾けた。


「これは私も見たことがないですね‥‥‥」


 神官がゆっくりと僕の顔色を窺うように話し始めた。


「あなたの職業(ジョブ)は≪村人A≫だそうです」


「は?」


 戦闘職どころか生活職ですらない。

 聞いたこともない。というかそれ職業なのか?

 聞き間違いだよね?

 どういうこと?


 僕が動揺で頭が真っ白になっているなか、

 教会中が、馬鹿にした笑いで埋め尽くされていた。


 【ステータス】

 名前 ルクス

 年齢 14歳

 性別 男

 種族 ヒューマン

 職業 村人A

 固有スキル リスポーン

 派生スキル なし


 Lv.1

 体力  10/10

 敏捷    5

 物理攻撃力 1

 物理防御力 1

 魔法攻撃力 1

 魔法防御力 1

 魔力量   10/10

 知力    30


お読みいただきありがとうございます。


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