ゴブリン表彰する
剣はバキン、と言う音を立ててその剣先は宙を舞い、地面に綺麗に突き刺さる。
雨が降ってきた。これは、俺という存在の目覚めを祝福する雨だ。
そこから先を認識できたものは俺以外いないだろう。
そこには、頭が吹き飛ばされた冒険者という結果のみが残った。
その体は体制を一瞬戻そうとしたが、糸の切れた操り人形のように、地面に吸い込まれて倒れた。
私が、この世界を創るのだ。全てはこの星の為に。そして我が野望のために。
「おい、大丈夫かゴブル。それにしてもまた随分と見た目がまた変わっちまったな。」
「ふむ、これは進化という事になるのか。それよりもヒトアこそ大丈夫か?血が吹き出たように見えたが。」
頭の後ろをバリバリとかく。
「あぁ、あれやばいって思ったんだが、ゴブリンシャーマンがどうやら身代わりの術っての使ってくれたらしくてな。だが、俺を守ったゴブリンは......。」
そいつは、冒険者の死体の横で息も絶え絶えの状態でこちらに親指を上げ、意識を失った。俺はそいつを両手で包み込み、天に向かって雄叫びを上げた、窪んだ眼孔からは雨がつたう。
こいつは俺に忠誠を誓ってくれていた。他のゴブリンよりも優しいこいつは俺が悲しむだろうと思ってこいつは......。
「死に行くお前に、命を賭して、死ぬとわかっていたのに仲間を守ったお前に名前をつけようと思う。お前は俺から名前をとってゴブルドにしたいと思う。お前は俺の名前を死ぬまで忘れないだろう。」
心の底からそう思った。
その時、奇跡が起こった。
ゴブルドの体に一筋の光が差し込み、太陽が里を照らす。
その光景は凄く神々しい。雨が上がった。
ゴブルドが俺の手の中で動き始めた。
立ち上がったゴブルドを俺は抱きしめた。
その襲撃で多くの仲間が失われた。
彼等が生まれ変わってもこのコロニーで過ごせるように静かに祈った。
埋葬が終わった後、私は生き残った仲間たちの前に立った。
「今回は私の采配の失敗によって多くの仲間を失った。これからは、仲間の事を第一に考え、ゴブリンとしてこの世界を......征服しようと考えている。」
ざわめきが広がっていく。
「私はそれだけの力を手に入れた、その力を見せる前に今回の襲撃の功労者を発表しようと思う。まずは、非戦闘員を守ったゴブリンタイタン、前へ。」
緊張した面持ちで、前へ出る。
「お前は十分な活躍をした。よって私から名を取りゴブルガと名付ける。」
すると、ゴブルガの体はみるみるうちに成長し、いや、予想よりデカイぞこれは。一時中断して、俺たちはその場を離れる。どんどんデカくなり、家屋は倒壊し、ゴブルガの両足でまだ小さいとはいえ、我々のコロニー全てが入るほどの大きさになった。
「本当に実在したのか......。ゴブリンジャイアント。」
それは、ゴブリンの昔話に出てくる巨人の名前。そいつは一掴みで山を作ることができ、指で落書きすれば川ができると言われていた。
すると、申し訳なさそうな顔をした後、小さくなる。と言っても倒壊した二階建ての一番大きかった家ほどの大きさはあるが。もう比べようはないのだがね!!
「進化の時はやむを得なかったようですみませんだ。家は後で作り直しますだ。」
いつも通りのゴブルガで安心した皆は、爆笑した。恥ずかしそうに頬を描く様子は面影を残していた。
「そして、身を呈してこの中で最も弱いヒトアを守ったゴブルド。」
「一言余計だ!!」
またも一同爆笑。
「そして、命をかけて散っていったゴブリン達に黙祷。」
皆目を瞑って故人に祈りを捧げた。
この戦いでは、ゴブリン五人が命を落とした。この犠牲を忘れないように、深く祈りを再度捧げた。
「さて、世界征服ができると豪語する私の新たな力を皆に見せようと思う。」
百PVの記念に書きました!!明かされるゴブルの新たな能力とは...?次回を乞うご期待!!
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