マリーさんは見た
屋敷の騒ぎの後、手玉に取られた騎士達に事後処理を任せたマリーとシャリオは町中を走り抜けていた。
シャリオは厳しい表情を浮かべ、マリーは、まんまとしてやられたことにいら立っていた。
「まったく不甲斐ない。なんですかあの体たらくは?」
「確かに情けねぇ。いっそ屋敷ごとぶっ壊すくらいの気概を見せられねぇもんか?」
「……貴女ね。普段モンスターを相手にしているのとはわけが違うのよ? そんなことをするくらいならコソ泥一匹見逃した方がまだましでしょう?」
「おいおい、本気か? 貴族の沽券がかかっているらしいぞ?」
マリーは嘆息するシャリオに笑い交じりで言うと、シャリオは面白くもなさそうにため息を吐く。
「何が沽券ですか。わたくし達を引っ張り出してきた時点でそんなもの地に落ちたようなものでしょうに」
「違いないが。出張ってきた以上、何もしないわけにゃいかねぇ」
「……貴女は暴れたいだけでしょうに。ほどほどにしておくことですね」
マリーはハッと鼻で笑い飛ばし、さらに加速した。
「言われずともそのつもりだ!」
「やれやれ」
身体強化で街中を駆け、その時、妙な閃光が橋のあたりで炸裂したのをマリーは見つけた。
「あっちか!」
「戦闘ですか? 初めて見る……いえ、あれは、まさか?」
そして何かに気が付いたシャリオの速度が上がる。
なぜか少しだけやる気を出したらしいシャリオにマリーは続いた。
橋の上ではすでに戦闘が始まっているらしい。
マリーの手に持った剣にも力がこもる。
二人が駆けつけると、橋の上で戦っているのはさっき逃げた怪盗と、もう一人よくわからない全身鎧を着たやつだった。
屋根の上に降り立ったマリーは口に出して確認する。
「あいつは……今話題になってる白い戦士か? なんであいつが怪盗と戦ってる?」
戦闘の跡があるが、今は戦っている様子はない。
二人は今何か話をしているらしい。
「お? 怪盗と距離がちけぇな? あいつら知り合いか? どうする……」
ニヤニヤしながら話を振ったマリーは固まる。
今まで見たことがないほど、シャリオが赤く燃え上がっていたからだ。
なにより目がやばい。貼り付けたような笑顔だが、学生時代に戦った時でもこんなに殺気を感じたことはない。
「あー……どうしたシャリオ? お、落ち着けよ」
「マリー……気が変わりました」
「え! あ、うん!」
「では、わたくしはあのコソ泥をいただきますので……」
「オイちょっと待て!」
そう言い放つとシャリオは、足元を爆発させてすっ飛んで行った。




