ちょっと思うところもあって
「ど、どうしたのそんな大金?」
あんぐり口を開けるリッキーに俺は真剣な表情で頷いてみせた。
「これは……何と言ったらいいか。世界を救った給金というか、……退職金みたいなものかなぁ」
ここに来る前俺は王都と呼ばれる場所で兵隊をしていた。
もっぱら後方支援担当だったが、色々と終わった後に貰ったお金である。
「うぁ……かなりあるね。普通に出してくるとは思わなかった」
「ぶっちゃけ全財産だ」
この町に来て鉱山で貯めた分もあるのでその額は家くらいなら買えるほどはあるだろう。
本気なのかとリッキーの表情は語っていた。
「君は……なんでここまでするんだ?」
それはあまりにも当然の疑問だった。
俺も何度も考えたが、リッキーに答えたのはシンプルなものだ。
「その価値があると俺が信じているから。だからどうしてもやりたいんだ」
結局のところこればかりはきっと説明してもわかってもらえない類の、自己満足でしかない。
リッキーは困り顔のままもう一度尋ねた。
「ホントにこれ……使っちゃっていいの? 余らなくてもいい?」
「あったりまえだろ? その代わり最高にロマンの詰まったものにしてやってくれよな!」
リッキーに求めるのはそれだけだ。
しかしそんな願いがどれだけリッキーに負担を強いるかは計り知れない。できる限りの要望には応えるつもりだと伝えると、リッキーは言った。
「まぁわかった……君の依頼引き受けるよ。任せて」
「おお! リッキーならそう言ってくれると思っていたよ!」
頼もしい返事に俺は心からリッキーに感謝する。
計画通り。それではもう一段階話を進めよう。
『交渉成立。おめでとうございますマスター。それではリッキー様、改めまして当基地にようこそ。貴方をゲストとして登録いたしました』
「へ?」
協力関係を約束された返事を聞いてテラさんが話始める。
リッキーは幽霊にでも話しかけられたみたいに挙動不審になっていた。