なかなか良い盾
リッキーはずいぶんとり乱していたが、俺だってリッキーやニーニャを直接戦わせるようなことは考えていない。
森の中に一人入った俺は誰もいなくなったのを確認して、自分のブレスレットに話しかけた。
「よし、テラさん転送だ」
『了解。転送します』
ブレスレットからテラさんの声が聞こえて、パワードスーツを転送する。
そして俺はリッキーに頼んで持ってきてもらっていたものを装備した。
「おお! いいじゃないか! この盾!」
パワードスーツ越しでも感じるずっしりと重い手ごたえは、頼もしさすら感じる。
リッキーには悪い事をしたが渡りに船と話に乗ったのはリッキーだし、バーベキューの準備くらい手伝ってくれても罰は当たるまい。
狩られたモンスターを全部捌くのは本気で大変なんだけれど、だからこそ手伝いは必要である。
俺はさっそくテラさんに話しかけて今後の予定を確認した。
「ニーニャがいればリッキーと拠点の守りには十分だろう。パワードスーツで一気に魔石を山盛り取ってきて、山分けだ。あとはバーベキューして帰るだけ。なんてお得な計画だろう」
『この森のモンスターのレベルは一般職の人間が勝てるレベルを超えています。見ず知らずの少女と二人残されるリッキー様の心労が深刻なレベルになることが懸念されますが?』
「大丈夫だろ? 俺は基本一人だったぞ? モンスター除けは割と効く。最初はちょっと心配で寝不足になるけど」
『……』
「むしろ心配が必要なのは俺達の方さ」
『というと?』
「……いや、来てみて思ったけど。ここ思ったよりずっとやばいだろう?」
『確かに。死亡のリスクはかなり高確率かと」
「この上何がいるかもわかんないわけだしな」
魔石だけなら歓迎だがそんなわけがない。
「危険生物とかいなけりゃいいけど……」
おそらく新撰組が来たのはそういう輩の排除も目的の一つなんじゃないだろうか?
俺は気を引き締めて採掘に当たることにした。




