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戦士団改め新撰組

 驚いている間に連れてこられたわけだが、おかげで俺は衣装だけはきちんとした。


 白いシャツに燕尾服。いわゆる一つの執事ファッションである。


 噂が本当なら最初からこうして連行するつもりだったのか服は新品でパリッとノリも利いていた。


「……」


 ひとまず被害はなく、ちょっと堅めの白パンとミルクをごちそうになったのでよしとしておこう。


 闘技場は、イタリアのコロッセオのような外観で王都でも人気のスポットだった。


 お嬢様は観客席に入っている他の貴族の姿を眺めて目を細めていた。


「やはり勇者様への関心は高いようですね」


「そうなんですか? 最近は王都にいるはずなんですが」


 ツクシは魔王を倒した英雄だと広まっているはずだった。


 魔王と戦っていた頃ならさすがに遠征が多くて、ツクシを見ることは難しいと思うが、あれからもうずいぶん経つ。


 戦っている所の一つや二つ、いつでも見れそうだと思ったのだが、そういうわけでもないらしい。


「王都にいても戦う機会を見るなど稀ですもの。勇者様もわたくし達の騎士団と顔を合わせる機会は少ないですよ」


 シャリオお嬢様は、少しだけ残念そうに首を振る。


「貴方も勇者様と一緒にいたということは戦士団の方と繋がりがあったのでしょう? 最近じゃ新撰組なんて名乗っていますがご存じ?」


「ああ、まだ戦士団の方にいるんですね。それは、知ってますよ……新撰組って名前は勇者命名でしょう?」


「あら? 異世界人ならそんなこともわかるのかしら?」


「ええまぁ……それにしても未だにあまり交流がないんですか?」


「役割が違いますから、仕方のない事です」


 シャリオお嬢様の言うように、騎士団と戦士団は役割が違う。


 騎士団は強力なモンスターが現れた場合、外に派遣されて討伐を行い、戦士団は主に王都の治安維持を行うのが主な仕事だ。


 その役割の違いは主に彼らの能力によるところが大きかった。


 騎士団は魔法の素養が高い者が集まり、戦士団は魔法の素養が低い者が集まっている。


 火力が違うのだから運用法も異なるのは当然だろう。


 そしてその違いから、二つある集団は、それぞれの特色を獲得している。


 ただ俺としては……こっちの特色の方が接点がない理由のような気がしてならなかった。


 シャリオお嬢様は何を思い出したのかうんざり顔で言った。


「まぁ……貴族に勇者様を目にする機会があった者は存外少ないのですよ」


「あーいや、まぁ。あんまり馬が合いそうではないですよね」


「……あえて否定はしません」


 ついっとシャリオお嬢様は視線をそらした。


 騎士団は魔法の修練を大事にする、それは当然の事だろう。


 では魔法の苦手な戦士団は何に重きを置くのかといえば、足りない物を補うために自分の体を徹底的に鍛えるわけだ。


 その結果、出来上がった筋肉の集団を思い出して俺はしみじみ呟いた。


「ノリから全然違いますしね。体育会系と文系って感じで」


「……一撃の威力は騎士団が優れていますが、連携と持久力は戦士団が勝ります。未知の魔法を秘めるという勇者様とは応用が利く戦士団が相性が良かったのでしょうけど」


「……勇者にしても実験投入って感じでしたもん。最初の頃なんて勇者とそれを守る肉の壁って感じでえぐいなって思って見てました」


 当時、今よりさらにちびっこだったツクシと、鍛えに鍛え上げられた戦士団をセットで運用していた姿は俺でも引いたくらいである。


「言うわね貴方……でもまぁそうなんでしょうね」


 異世界からやってきた戦力の試験的運用のつもりだったが、ツクシは順調に勝利を重ね、結局最後まで行ってしまった感じだ。


 戦士団の名前こそ変わったものの、どうやら俺のいたころからツクシの状況はあまり変わっていないようだった。


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