表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
411/462

怪獣の巣の冒険

「うぁ、なんです……これ? 卵みたいに見えますが?」


【たぶん怪獣の卵】


「ですよねー……」


【そしてここはたぶん怪獣の巣】


「ですよね! なんでこんなところに運び込んだんですか!」


【それは偶然、運び込んだというより流された】


 ニーニャに指摘されてタカコはぼんやりとある記憶をたどると、海の中に落ちてから、ものすごい水の中でもみくちゃにされたことを思い出した。


「あー確かに、本来はここで生まれて海に出ていく感じなのかもしれませんね」


 この島があの怪獣たちの巣であることは間違いない。ただ気になるのは形状に一貫性がないことだろう。


 密集して卵があるから同じ種類かと思えば、透けて見える内容物は様々だ。


 そういえば、外の海で見た巨大な怪獣も、蛇型やワニ型、果ては空まで飛ぶ種類までいた気がする。


 どうにもきな臭いが、卵の内割れたばかりと思われるものがいくつもあるのも嫌な予感がする原因だった。


「……というか、絶対いますよね? この中に」


【いる】


 岩陰やまだ魔法で照らしきれない闇の奥から、重い足音が時折聞こえてくる。しかも沢山。


 唸り声のような音も、こちらを取り囲むように周囲にきらきら光っている動物の目玉のようなものも、出来る事なら勘違いだと処理してしまいたい。


 しかし残念ながら光の中一匹、また一匹と姿を現す怪獣の子供達は、象ほどの大きさで食欲旺盛そうによだれを垂らしていた。


「平和的に解決とか絶対無理そうな顔してますよね……」


【平和はいいけどお腹が膨れてから】


「ごもっともです」


 タカコはニーニャの背後に隠れた。


 空腹なのはお気の毒だが、お腹に収まるのが自分というのは冗談ではない。


 徐々に狭まる包囲網。


 子怪獣達の間合いに差し掛かった瞬間、一斉攻撃は始まる。


【来る】


「……!」


 静から動へ。牙をむくのは一瞬だった。


 だが襲い掛かったのが運の尽きだ。


 怪獣達の攻撃の勢いが、全て張り巡らされた黒い糸に掛かり、スパンと首が飛んだのは、全てはニーニャの仕業だった。


 あれだけの敵を前にして一歩も引かず、勝って当然とたたずむ黒い少女は、あらかじめ丈夫な糸状の何かを洞窟に張り巡らせていたらしい。


 すかさずニーニャは、最初の攻撃が失敗に終わり怯んだ子怪獣に魔法を放つ。


 地面に着弾し、岩の槍となった魔法が子怪獣をすべて串刺しにするのに10秒とはかからない。


【よし】


「やばいです……普通に惚れてしまいそうなかっこよさです」


 魔法だけではなくあの黒い何かを使った戦闘手段は強力無比だ。


 中近距離を問わず、変幻自在で隙が無い。


 そしてタカコはニーニャが仕留めた子怪獣に目を止めた。


「ん? 頭の切断面が光ってる?」


 当たりが薄暗いからわかる程度の弱い光だが、子怪獣の傷口がうっすらと光っているのを見つけて、タカコは目を細めた。


「……うーん、これはひょっとして……」


【何かわかった?】


「いえ、以前に似たものを見たことがありまして」


 タカコの知るナノマシンという小さなロボットも、こういう反応を見せることがあった。


 散布型のナノマシンは生物の体内に入り込み、知能の低い動物を操ことができた。


 ただし、タカコの知る技術と似ているが、同じものとは限らない。


「モンスターを操るような奴がいるかもしれません。気を付けてください」


【なるほど……貴女も中々やる】


「へ? そうですかねー? ありがとうございます」


 唐突にほめられて、タカコ照れ隠しに頭をかいた。


【とにかく、この場所から離れよう。何かわかるはず】


「そうですね……最優先事項ですね!」


 とはいえ早いところここを抜け出さないと、秘密を暴く前にうっかり死んでしまう。


 タカコは転がる子怪獣達をもう一度見てごくりと喉を鳴らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ