思わぬ再会
視界が完全に閉ざされていた。
真っ暗な画面に、警告がいくつも映し出されて点滅している。
そして体感として、どんどんどこかに沈んでいっているのが分かって、俺の焦りを加速した。
「エレクトロコア! 出力最大! 籠手にぶち込め!」
『了解。衝撃に備えてください』
俺は、大慌てて叫んだ。
背中のエレクトロコアがビリビリ震え、その振動が両腕に伝播すると、すさまじい衝撃が弾けた。
解放されたエネルギーの爆発は俺を捕らえていた物を粉砕する。
「……!」
体を覆っていた拘束から解放され、視界が開けるとそこは、光を一切反射しない球体が浮かぶ、広い空間だった。
球体は俺の体から出る電撃を集めて威力を和らげているようにも見えた。
そして放り出されたのは、なぜか空中である。
俺は手足をばたつかせ、上下をようやく確認したが状況が分からない。
あまりにも様変わりした空間を落ちていく現状は把握するには突飛すぎた。
「……どうなってる!」
『電撃が吸収されているようです。現状での最大出力ならこの程度の空間なら粉砕できるはずです』
「……マジで? こんなところでそんなものぶっ放したら俺も危なくない?」
『現状の防御性能なら、生存可能です』
「……今度。適当なところで実験して。俺が実感しとかないとまずいな」
『必要な工程であると判断します。しかし今度があればですが』
「そうだな……まずはここを抜け出すことを考えないとな!」
パニック時の状況判断はまだまだ甘いところがあると反省せねばなるまい。
だがそれでもひとまず着地は成功である。
ガンと音を立てて着地した地面は固く、金属音がした。
床に硬質なパネルが隙間なく敷き詰められている空間はどう見ても人工物だった。
「なんかやばい予感しかしないな。テラさん―――状況は?」
『上方より、生体反応接近中。一人です』
「なに!」
俺は警戒し慌てて視線を上げる。
「……なに?」
だが見上げて一秒で首を傾げた。
ゆっくりと何か降りてくるのは、テラさんのいった通りだ。
形がはっきりしてくるとそれはアダムスキー型のUFOのような形をしていて、ものすごくライトアップされていた。
とてもまぶしい。
そしてスーッと俺達の目前まで降りて来た。
つい毒気を抜かれてしまったが、UFOに乗っていた人物を目の当たりにして今度こそ俺の口はあんぐりと開いていた。
「ヒョッヒョッヒョッ! 相変わらずいかれた精神構造しておるの! こんなもんをいきなりぶっぱなすとは!」
「あ、あんたは……ドクターダイス!」
「そうじゃよー」
白衣を着た丸っこい爺さんは楽しそうに俺との再会を喜んでいた。




