表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PS ヒーロー始めました。  作者: くずもち
未知との遭遇編
332/462

バーべキューにしようか

「えー……とりあえずバーベキュー大会を催すことになりました」


「な、なんでですか?」


「黄金肉トカゲのお肉がおいしそうだからです。本当にありがとうございます」


「ど、どういたしまして?」


 目が覚めて早々のバーべキュー宣言で何が何だかわかっていないタカコはもうしばらく対応するのに時間がかかりそうである。


 とはいっても肉の特殊な処理方法は心得ている。


 緑の巨人は快く薪を提供してくれ、提供された広場に俺の設置した竈はその存在感を放っていた。


 肉は沢山あることだし、残しておいても仕方がないので、ここはすべてを大放出するとしよう。


 緑の巨人のアイテム袋とやらに保存してあったオオトカゲを出してもらい、俺は手際よくばっさばっさと捌いて行く。


 ごちそうすると言った手前、こちらからも持ってきていた野菜の類も提供した。


 ジュウジュウと熱い鉄板の上で踊る黄金の肉と色とりどりの野菜たち。


 複雑な味は避け、今回はシンプルに塩と胡椒で攻めてゆく。


 立ち昇る香りに、すでに緑の巨人は夢中である。


 そして俺を見ただけで気絶していた他の緑の巨人達も今度はなんだなんだと遠巻きに集まって来た。


 俺は大声で呼び込もうかとも思ったが、気絶されても困る。


 仕方がないので金色に輝いて最高のコンディションの肉と焼けた野菜を皿に盛り、今にもよだれを垂らしそうな緑の巨人に差し出した。


「はい。おまち」


「た、食べていいのか?」


 律義に尋ねる緑の巨人に、俺は頷くことで応えると、彼は皿を受け取りもりもりと食べ始めた。


 手がまったく止まらない。


 特に黄金の肉を食べる時は手元に残像が見えたほどだ。


 ちょっと目の焦点が合っていないような気がするけど至福の表情を浮かべているのは間違いなかった。


「うーむ。俺もあの肉食べる時はあんな感じだったのかな? めちゃくちゃうまそうに食うなぁ」


 振舞うと決めたが、作っている時点で匂いがもう堪らない。


 そしてそれはこの集落の人々にも同じだったようで、緑の巨人たちの輪はどんどん狭くなっていた。


 俺はトングを両手に構え、食べごろの物を次々と摘まみ上げて、用意していた皿に次々に盛って行った。


 焼き色は満点だ。皿に盛るたびに跳ねる油は肉に負けず劣らず輝いて見えた。


「さぁ皆さんもどうですか? 俺は旅人の大門 大吉と言います。お近づきの印に料理を振舞いますよ?」


 緑の巨人達はしばし戸惑ったように顔を見合わせていたが、一斉に聞こえた腹の音が、作戦の第一段階の成功を確信させた。


 様子をうかがっていたタカコはうわぁと言いながらも俺の作ったバーベキュー皿を取ってもぐもぐ食べている。


「なんだか怪しくありません? 裏とか疑われますよ?」


 いや裏とかねぇから。まずは仲良くなりたいだけだから。


 そんな言い訳はしなかったが、敵意がないのは伝わったらしい。


 一人また一人と近づいてきて皿に手を伸ばす緑の巨人たちのために、俺は行動で示すべく黙々と作業に徹することにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ