表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
313/462

タカコ、捕まる

「うーん……あれ? さっきは反応したのになぁ」


 タカコはさっそくペンダントの反応を固く信じて、城を目指した。


 ところが城の前にたどり着いたところでもう一度ペンダントを確認すると、どうにも指し示している方向が違ったのである。


「どうしたんだろう? ……まさか故障とか?」


 タカコはペンダントを振ってみたりしたのだが、変化はない。


 つい脳裏にダイキチの本当に役に立つのか? という言葉が浮かんで来たが、慌ててタカコは首を振った。


「いやいやいや! そこは大前提ですって! 疑うところではありません! とにかく情報を! 情報を集めなければ!」


 タカコは声まで出して気合を入れる。


 ところが声が大きすぎたのか、いきなり声をかけられて、タカコは赤面した。


「あ……」


「君は……タカコさんか。どうしたんだい? こんなところで」


 ただ近寄って来たのは見覚えのある鎧の集団で、その中に見覚えのある顔も発見してタカコはほっと胸をなでおろした。


「ハンソンさん! よかった! ちょうど貴方を探していたんですよ!」


「私を? どうしたんだい?」


 ニコニコと笑顔のハンソン。


 ドキュンとタカコはときめく。


 さすがは騎士様! その紳士的な微笑みは中々刺激的だった。


 これは頼らざるを得ないのではないだろうか?


 異世界において、頼りになる人との出会いは、ダイヤモンドより貴重である。


 タカコは話が早いと、普通の話のテンションで本題に入った。


「ええ実はこの辺に異世界から来た人間っていませんかね? この世界じゃ珍しくないって聞いてるんですけど!」


 その瞬間、ハンソンの表情が真剣なものへと変わった。


「……やはり君には、しっかり話を聞く必要があるようだ」


「……はい?」


 なんとなく変わった雰囲気に戸惑い、間抜けな声を出したタカコの周囲をガチャガチャと足音を立てて鎧の騎士達が囲み、一斉に槍を突きつけられる。


「えーっと……これは?」


「警戒されていないとでも思ったのか? あんな化け物を連れておいて」


「ば、化け物? ナンノコトダカワカリマセンヨ?」


「わかりやすいな君は……とにかくあの角の生えた化け物について、洗いざらいはいてもらう」


「え? なんですその角のある化け物って……本気でわかんないんですけど?」


 さっそく濡れ衣で捕まりたくない。


 質問の順番さえ違ったらよかったのに、もう時すでに遅しだ。


 ハンソン表情に一切の笑みがない事を確認して、タカコはヒクリとかろうじて浮かべていた、自分の笑顔を凍り付かせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ