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集う仲間達

「……」


 ダイキチは無言でマフラーを大きく振り回す。


 マフラーは黒く燃え上がるように揺らめき、ドラゴンの頭をかたどってトシに向かって襲い掛かった。


「!ううぅ!」


 だがあわや飲み込まれるというタイミングで、トシの姿は掻き消え、ドラゴンは地面をえぐった。


 突然姿を消したトシのいた場所にはかすかに歪みが残っていて、周囲を探すダイキチが視界に捉えたのは空に浮かぶ漆黒の翼だった。


【てんちょ……それはパワハラ!】


 マー坊を纏うニーニャは異世界語を使いこなしつつ、光弾の雨を降らせた。


 空から放たれた魔法の爆撃は、ダイキチを巻き込んでさく裂したが、爆炎の中から飛び出したマフラーがニーニャの脚を絡めとった。


「!」


 ニーニャの体から飛び出した触手は、鋭い刃になってマフラーを切ろうとするが、マフラーはうねうねと形状を変えて生きているように触手をかわして、ニーニャを地面に思い切り投げ飛ばした。


 地面にたたきつけられる直前、ニーニャは無数の触手で力を分散させて無理やり着地するが、流れた冷や汗をぬぐった。


 魔法の爆炎の中から姿を現したダイキチは無傷である。


 パワードスーツはもちろん、その周囲まで攻撃が避けて通ったようにきれいなままで、ニーニャはさすがに困惑したが、すぐに後ろから声が飛んできた。


「なんか乱入が増えて来たぞ! おいシャリオ! このまま戦うか!」


「大丈夫だと思いますわ! ニーニャさん! なぜここに!?」


【……故会って助太刀する】


 むんと表情に力を入れて、親指を立てるニーニャにマリーは頭を掻き、シャリオは敵ではないならと頷くだけにとどめた。


「……そこの羽根のやつ! こいつに魔法は効果がねぇ!」


「戦うのなら魔法は補助になさい! 間接的にならいくらか効果があります!」


 声の主、マリーとシャリオはニーニャを味方と判断して、アドバイスを送る。


 だが完全には状況を把握出来ずに混乱はしていた。


 トシはと言えば、三人のかなり後方に姿を現して、大きめのクマのぬいぐるみに受け止められていた。


「やれやれ。来て早々手を出してしまったなぁ。この借りはダイキチに請求しよう。大丈夫かい?」


「大丈夫。まだやれる」


「そうかい?」


 にこりと笑うイーグルに、トシはぺこりと頭を下げクマから飛びだす。


 ぶるぶる頭を振ってやる気十分のトシを眺めてイーグルは指を鳴らす。


「では最後に君だね。頑張って」


 空間が歪み光が漏れると、圧倒的な魔力が風を生んだ。


「ダイキチ……来たぞ」


 そして転移してきたツクシは聖剣を携え大人の姿でダイキチの前に立つ。


 ダイキチはそろった顔ぶれを一瞥して、体を震わせ始めると、その鎧からどろりと液体のようなものがあふれ出す。


「うおおおおお!!!」


 それはぼこぼこと形を変えて、黄金の髑髏が中から飛び出し上半身だけだが巨大な化け物の姿を形作った。


「……ツクシ……強さを証明する」


 名前を呼ばれツクシの体が少しだけ強張った。


 現れた化け物を見た全員が息を飲むが、ツクシのすぐ横でふわふわ飛んでいるテラさんはすぐさまデータを吐き出していた。


 空中に投影された映像には、かつて戦った黄金髑髏の化け物と魔王の姿が写っていた。


『体組織のほとんどは魔王と呼ばれていた個体と同じものです。そして黄金の頭部は以前戦闘した、仙術という技術で生成された人工生命体の特徴を備えています。魔法は魔力に分解され、触れれば魔力を吸収される可能性が高いです。ご注意を』


 テラさんの助言に全員気を引き締める。


 ダイキチからとびだした巨人の上半身は這いずるように動き出した。


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― 新着の感想 ―
[一言] みんなの思い(恨み)が集まって力になってますね
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