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謎の大都市

「精霊の森ってどんなとこ?」


 それは当然目的地があれば自然に出てくる質問にニーニャはこう答えていた。


【とても自然が豊かで、精霊が沢山いる場所】


 かなり漠然としているが、俺も精霊の森と言われてまずそんな想像をした。


 深い森で、イーグルの話では半透明の存在が支配する神秘的な場所。


 きっと人間が立ち入ることもはばかられるような、大自然の息吹を感じる場所であるはずだろうと。


「……」


【……】


 ただ旅をして五日ほど、少しばかりおかしいなと思うポイントはいくつか発見していた。


「……すごいバイクで走りやすいな」


【揺れが少ない】


 精霊の森に近づけば近づくほど道がよくなってきている。


 そしてニーニャはある時、指をさす。


【あの丘! あそこから森が見渡せる!】


 見覚えのある風景に興奮しているニーニャに従い、俺は丘に向かった。


 どれだけ深い森が顔を出すのかと構えていたが、丘から精霊の森を目にする段階になって決定的におかしなものを目撃した。


「は?」


【え?】


 ニーニャの案内でたどり着いた場所は、自然豊かな場所とは程遠かった。


 そこには森なんて全くない。


 というか都市である。


 太陽の光をキラキラと照り返すそれは、どう見ても発達した未来の都市にしか見えなかった。


 俺は道を間違ったんじゃないかと本気で疑い始めた。


「なんか……すごく都会。っていうか、なんか未来感がすごい」


【何あれ……あんなのは知らない】


「間違った?」


【そんなことはない……はず】


 ニーニャはそんなことはないと言いつつも、やはり見慣れない光景に戸惑っているようだった。


 聞いていた話と違いすぎて、俺も何が本当か判断できない。


 しかし他に手がかりもない以上、情報収集は必要だった。


「とにかく、行ってみるしかないか……」


【うん】


 俺は都市に向かおうと決めたのだが、その時、何やら人影を見つけた。


「ひぃ……ひぃ……ひぃ……ひぃ……ウキョー!!!」


 それは奇声を上げながら走る、白衣を着た丸っこい爺さんらしい。


 その爺さんは大きなカバンを背負い、スクーターのようなもので走っている。


 そして爺さんの背後から、髑髏マークのついた丸っこい浮く乗り物に乗った集団が追ってきているのも確認できた。


「なんだと? マジか?」


 だが俺は謎の乗り物に乗っている奴らを見て、愕然とした。


 そいつらは全員が全身タイツに身を包み、武装したなぞ集団だったからである。


「……アレはイーグルの冗談じゃなかったのか?」


【どうする?】


 ニーニャに尋ねられた俺はしばし考える。


 正直どっちも怪しすぎるが、襲われている方は明らかだ。


「……よし、爺さんの方を助けよう」


【わかった】


 ニーニャはパッと俺の後ろから飛び降りて、空を飛ぶ。


 俺は大急ぎでレバーを引き、荷物を運ぶために無理やりつけていた金具を荷物ごと落として、再びバイクに再び飛び乗った。


「よし! テラさん。転送頼む!」


『了解しました』


 目標を定めて俺は、凶暴に笑った。


 俺としてはこうしてわかりやすいほど悪役ムーブをしてくれると、とてもやりやすい。


 身体は転送の光で輝き、白いアーマーが出現する。


「さてまずは一暴れと行こうか」


 ヘルメットが顔を覆い、赤いマフラーが首にしっかり巻き付けば準備は完了。


 だが今回はもう一つ工程が残っている。


「テラさん! エレクトロコアをバイクに接続!」


『了解。接続開始します』


 テラさんの声が聞こえたとたん、ニーニャが座っていた部分からパイプが飛び出し、背中のエレクトロコアにがっちりとはまる。


 バイクは変形して蒸気を輩出すると、青白い光を放ち始めた。


 準備は整った。


 俺は思い切りアクセルを捻る。


 バイクはウイリーしながら謎の集団に突っ込んでいった。


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