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出発の日の朝

 出発の日、日の出の前に俺達は王都の城門の集まることになっていた。


 旅支度を整え、俺とニーニャが暗い中を歩いて集合場所に向かうと、ツクシに仏頂面で出迎えられた。


「なー、ホントにだいきちはいかないか?」


「今回はパスだなぁ。その代わりニーニャを頼んだぞ? ツクシにしか守れないんだ」


「僕にしかか?」


「それになぁ、俺には忍者は無理だわー。お城に忍び込んだりするんだぞ?」


「ニンジャ! そうだな! そんな感じだな!」


「こっそり素早く! 蝶のように舞い、蜂のように刺す動きが必要だぞ!」


「蝶のように……」


 フヨフヨと体を上下させているツクシは、だいたいこんな感じでOKだ。


「ニーニャも向こうに行ったら口でしゃべるように。テレパシーは目立つからな?」


「……わかった」


「「おおー」」


 俺とツクシの声が驚きではハモると、ニーニャは赤面していた。


 突然声で話すようになった秘密は簡単だ。


 ニーニャの代わりにマー坊が話している、これだけだ。


 マー坊の声帯模写は、思ったよりも完ぺきだった。


「まぁ大船に乗った気でいるがいい! 完璧にやり遂げてくれ……ますわよ!」


 おや、そうでもないようである。


 そろって何やら不思議な踊りを踊る二人を見て、不安そうな顔をするベルジュ君の肩を俺はポンと叩いた。


「大丈夫。二人ともこの王都でも指折りの使い手だから」


「はい……わかっています」


 大事を前に不安なのはわかるが、君は運がいい。


 ここに集まったメンツは王都で人を集めるのなら最強クラスに違いなかった。


 するとその時、聞き覚えのある馬車の音がやってきて、俺達の前で急停止。


 勢いよく扉が開き、中からまず聞こえたのは特徴のある高笑いだった。


「おーっほっほっほ! 話は聞かせていただきましたわ! 及ばずながらこのわたくしが貴方達に力を貸して差しあげましょう!」


 ワサリと揺れる赤毛の縦巻きロールは、今日もゴージャスでお美しい。


 その隣では、後から出て来たヒルデ副長が俺達に向かって会釈する。


「とりあえず、スカウトしてきました」


「えぇ! 貴族の人でしょ!? 大丈夫なんですか?」


 驚いた俺に、巻き毛の助っ人、シャリオお嬢様が長いまつげでウインクして宣言する。


「何の問題もありません!」


 そんなことはないと思うけど。そうは思ったが俺にはとても口をはさむなんて出来そうになかった。


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