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転生

長い間更新出来ずに、申し訳ございませんでした。

これから、ちょくちょく更新する予定です。

「……る。は……さ…。はい………」


 誰かの声が聞こえる。俺は死んだのか?ここは天界とかいうところか?


「はいる……。だい……ぶ……か」


 まだ、死んだばっかりだからか、意識がぼんやりしている。転生は失敗したのか?


「はい…さま」


 転生?転生!そういえば転生したんだったな。


 うぅ。少し意識がすっきりしたと思ったら頭痛が。二人の意識がぐちゃぐちゃだ。


 えっと、俺の名前はハイク? ハイル? 似てるな。ハイクは俺の名前だしな。俺はハイルだろう。


 えっと俺の名前はハイル・トルーストン。トルーストン伯爵家の次男で5歳。


 えっ!? トル―ストン家だって!?


 驚いたのには理由があった。それは、前世の名が、ハイク・トル―ストンだったからだ。


 トル―ストン家。この一家は、俺とカイナが結婚したことによって新しく出来たものだ。元々、公爵家の娘だったカイナに俺が婿入りするつもりだったのだが、大きな戦いが終わった後、王が褒美を下さることになり、頂いた伯爵位。それが、トル―ストン家だ。


 名前も爵位も全く一緒だ。それに驚いた。


 ま、名前というものは、時代が進むにつれ変わっていくものだから、多分違うのだろう。


 家族は、上に7歳の長男、ガルラ・トルーストン、8歳の長女、ミーリア・トル―ストン。


 父が、ヴァイド・トルーストン。母がナーディッタ・トルーストン。


 そんな風に思考を巡らせていると、目の前に女性の顔があった。


「うわっ!いたっ!」


 ゴンっと鈍い音が鳴る。俺の頭とのぞき込んでいた女性の頭がぶつかったようだ。女性の方は額を手で押さえ、こちらを睨んでいた。


「痛いですよ〜、ハイル様〜」


「ごめんね、エル」


 彼女の名前はエルファニー。俺付き添いのメイドさんみたいだ。そんな彼女は、今少し涙目だ。ちなみに俺も結構痛かった。


「せっかく目を覚ました様だったので、何べんも声を掛けたのに。何て仕打ちですか?」


「ごめんね。少しボーっとしてた」


「ま、良いですけど。気分はどうですか?傷が痛むとかありますか?」


 そう聞かれると、後頭部が少し痛いような気がする。話しを聞いてみると、どうやら俺は急に気を失って倒れたみたいだ。その時、後頭部を強く打ち付け、けがをしたようだ。


「ちょっと、ズキズキするけど大丈夫。ありがとう」


「それは良かったです。じゃあ、少し報告してきます。安静にしててくださいね。ただでさえお身体が丈夫でないのですから」


 そう言ってエルは部屋から出て行った。


 少し、自分の状況を整理してみようと思う。


 俺は転生してここにいる。普通は転生した後は、生まれた直後から意識があるはずなのだが、ハイルは5歳のようだ。どこか失敗したのだろうか? それとも、外部からの干渉を受けたのか?


 それはとりあえず置いておこう。今、先ほど意識が戻った。頭を打った衝撃のせいなのだろう。そうだとすると、もし入るが倒れてなく、頭を打っていなければ、俺はどうなっていたのだろうかと考えるとゾッとする。そのまま一生意識がないままだったのだろうか?


 そしたら、カイナも俺以外の男と結婚させられて…… 


 いや! もしかしたら、俺と同じようにまだ意識が戻ってない可能性も! とりあえず、知識を得なければ!


 行動を起こそうと立とうとしても、体の自由があまり聞かない。立とうとしても立てないのだ。


 忘れていた。俺は、ハイルは生まれつき身体が弱いのだった。


 諦めてベッドに横になる。そして、自分が今いる部屋を見渡してみる。この部屋には、勉強する用の机と椅子、ベッドしかない。しかも、薄汚れた木製のベッドだ。床も壁も木製であることが分かるように、木材が丸出しの部屋だ。


 どう見ても、伯爵家の家には見えない。これは、まるで倉庫だ。窓が、近くにあるので外を見たかったが、身体が動かずそれは叶わなかった。


 前世も伯爵家だったが、当たり前だがこんな平民のような家ではなかった。床は大理石で出来ていて、壁は漆喰で白く塗装されていた。前世での家は、カイナの父である公爵様が家を建ててくださったので、もしかしたら基準が違うのかもしれないが、これではないと思う。


 であるとするならば、


「ハイル、目を覚ましたのか?」


 思考を巡らせていると家族みんながやってきた。しかし、その顔は心無しか残念そうだ。


「死んでくれても良かったのに」


 そう、呟いたのを俺は聞き逃さなかった。その言葉に耳を疑ったが、嫌悪感丸出しの母を見るに、本当に言ったことが分かる。そして、兄と姉はまだ幼いのかそんな嫌悪感を隠すことなく頷いていた。


 そんなことを言ったにも関わらず、父は表情を変化させることなく近づいて来て言った。


「この、一家の恥さらしが。さっさと死ね」


 そう言って俺の頭を殴ろうとしたが、咄嗟に避けてしまった。


 信じられない父の行動に、顔を見たが少し赤くなっていた。他の家族の方を見ると、信じされないような顔をしていた。執事やエルを含むメイドさんたちは、驚きと心配が混ざったような顔をしていた。


 避けられたのが頭に来たのだろうか。もう一度殴って来た。それも、避けた。


 すると、父の顔は真っ赤になり、本気で怒ってしまった。


「クソごみが!」


 俺は急いで魔力を、え? 手に集中させ、受け止める。やはり、大人の本気を5歳、しかも病弱が受け止めるのは厳しく俺は反動で倒れてしまった。


「結局、そうなるんだから、さっさと殴られればいいのに」


 そう姉が呟いていた。


「生きはさせてあげているのだから、殴られるくらいは我慢しろ。このクソ息子が」


 すっきりしたのか父はそう言って部屋から出て行った。それに追随するように家族たちは俺を睨みながら出て行った。


 部屋には執事とエルを含むメイド三人が残っていた。


「ハイル様、大丈夫でしょうか?」


 執事が心配そうに聞いてくる。彼の手にはタオルと包帯、水桶があった。


「大丈夫だよ、ロイジ。ありがとう」


 彼の名前はロイジウス。この家の執事だ。ロイジはメイドたちに、タオルと包帯、水桶を渡す。そのメイドたちがケガしたところを水タオルで拭いてくれる。


「毎回、申し訳ございません、ロイジ様。私たちがふがいないばかりに」


 頭を下げて、謝ってくる。メイドたちも一緒に頭を下げた。


「いやいや、良いよ。迷惑かけてるの僕も一緒でしょ。ロイジたちはロイジたちも大変でしょ?お互い様だよ」


「そう言って頂けるとロイジたちは少し気が楽になります。でも、耐えられなくなる前に言ってください」


「分かったよ。いつもありがとう」


「勿体ないお言葉です。では、失礼いたします」


 ロイジはメイドたちと部屋を出て行った。部屋には、俺とエルだけが残った。


「ハイル様、本当に大丈夫ですか? このままだと、本当に死んでしまいますよ」


「大丈夫だよ。もう、心配は掛けないから」


 エルの目を合わせながら真剣に言う。するとエルが不思議そうに聞いてきた。


「ハイル様、やっぱり今日変です。先ほどもヴァイド様の拳を避けていましたよね? 頭、打ったせいですか?」


「そうかな? 自分じゃ分からないけど……」


 でも、ハッキリと分かったことがあった。俺は、家族から迫害を受けている。それは、俺に魔力がないからだ。今までハイルがいじめられてきた記憶はもちろんあったが、魔力がないごときでいじめられるのか、半信半疑だったのだ。だから、思考を後回しにしていたのだが、これほどとは……


 先ほどの感じた違和感だ。父に殴られたとき、たとえ5歳だとしても俺の魔力であれば、あんなへなくちょパンチ、受け止めれたはずなのだ。でも、今のハイルの身体には魔力がない。しかも、魔力の通りも悪い。そのおかげで、いつもの通り魔力を込めてもうまく行かなかったのだ。


 ハイルの5歳の脳で理解していることは少ない。でも、確かなことは一つ。この一家が、俺とカイナの子孫ということだ。


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