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第5話 食堂と武器について

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します。


今年一発目の投稿になりました。

以下より、本編です。


食堂へは15分程で着いた。

玲音が焔と潮から最短ルートを聞き出したが為の早期到着であり、通常は30分程かかるらしい。

食堂の扉は開け放たれていて、既に多くの生徒で賑わっているのが見えた。


制服を見る限り、ここの利用者は高等部までの生徒が殆どで、大学部や大学院の生徒は疎らにいる程度だ。

ちなみに大学部、大学院の生徒は基本私服だが、み空色のローブを着用する事が義務づけられている為、色の違いで判別がつく。


なお、等部は手首の特殊ゴムブレスレットの色で、学年はブレスに埋め込まれた金属の色で判断できる。

小等部は黄、中等部は緑、高等部は青、大学部は赤、大学院は黒で、第1学年が銅、第2学年が銀、それ以上が金といった感じに。

ブレスの機能はローブと一緒で、作成される際にゴムに魔力が混ぜ込まれている為、特殊ゴムという名前になっている。

金属は円の4分の1を覆っており、ある一定の工程で別の金属に変化する特殊加工がされている。

俺たち新一年生はまだ貰っていない筈だ。

大凡、明日にでも配られるのだろう。



話は逸れたが、兎に角そんな生徒達で一杯の食堂に入ったんだ。

…ところが、入ると同時にこちらを見て一様に騒つく者が多発した。

それに席を探そうと4人して辺りを見回していると、偶々目のあった者が慌てて席を立ち、席を譲ってきたのだ。

…なんか俺が脅して退かしたみたいな感じになってないか、これ。


「冷夏、貴方脅してないわよね?」


ほら、早速疑われた。


「いや…全く、これっぽっち…も。」


首をふるふると横に振りながら、そう答えると、葵は…そう。まあ、そうよね…と呟いて黙り込んだ。


「とりあえず、座らへんか?さっきの生徒はん、もうどっかいってもうてるし、いつまでも此処に居るんは、邪魔になってまうから。」


初袮の言葉で気づいたが、先程の生徒と一緒に座っていた3人の姿が何処にもない。逃げ足?が早いな。

それに初袮の意見には一理ある。

そう思ったのは俺だけではないようで、2人も一様に同意を示し、その席についた。

俺と葵、初袮と玲音の組み合わせで座ると、周りの騒つきは少し収まったものの、今度はヒソヒソ話をする奴が増えた。

…声混じって上手く聞き取れないが、気分がいいものではないな。

かと言って、過剰反応するのもどうか…

4人して同じ結論に至り、無視を決め込んだ。




「ここは…タッチパネルで注文するんだな。皆んなはどうする?言ってくれれば、ついでに入力するが。」


ほお…『食券』とやらを買いに行かなくて済むんだな。


「俺は…サーモンいくら丼、の並で。…あるか?」


「サーモンいくら丼…並……お、あったぞ。山葵は要るか?」


「…要らない。」


「了解した。俺は…ソースカツ丼の大盛りにするが、葵と初袮は?」


玲音はやはりガッツリ系か。


「私はオムライス。ああ、デミグラスの方ね。」


「半熟と固焼…「半熟で。」…分かった。」


すごい食い気味に言ったな。まあ、半熟オムライスは葵の大好物だからな。玲音も形式的に聞いただけだろうが…少し引き気味だ。


「俺は、ステーキ丼にするわ。折角の機会や、ええもん食いたいやん?」


こういう所は遠慮なくいくな…相変わらず。


「気持ちは分かるが…はぁ……で、ステーキ丼だったな。ソースは和風とガーリック、バター醤油があるが…どれにする?」


「うーん、せやな…和風にするわ。」


「分かった。…飲み物は緑茶で良かったか?」


「ああ。」

「ええ。」

「おう。」


まあ、ひだまりの家では毎食必ず緑茶が出ていたからな。最早日課も同然だな。


「あとはお会計だな。…ん?端末をかざして下さい?」


「どないしたん?…ああ、それな。確か、端末配布は明日やから、今日の食事代は学校負担にしてくれるらしいで。何でも、入学祝いとか。あと、新入生全員にもれなく極上プリンが付いてくるんやて。ちなみに、そのプリンはここの人気No.1スイーツらしいわ。」


…その情報は一体どこで仕入れて来たんだ。

いや、多分移動中にでも聞き耳立ててたんだろうし、助かるんだが…噂好きのオカン感凄いな。

こう思うのは、自分だけかもしれないが。


「そうだったのか?…よく見たら、新入生の方はこちらをクリックして下さい、って書いてあるな。……会計完了しました、料理は出来上がり次第、簡易転送リリーヴにて配給されます。ご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。…か。…よし、注文終わったぞ。」


…なんか最後の『ATM』みたいだったな。

しかしながら、ここは簡易とはいえ、転移や転送がよく使われているな…

便利なのはいいんだが、ハイテク過ぎて驚く事ばかりだ。

早くここに上手く馴染めるといいんだが…




「さて、注文も終わったとこやし、料理来るまでなんか話さんか?」


そう言って、初袮が場の空気を変えた。

まあ、このまま無言で過ごすのも、アレだしな。妥当だろう。


「そうね…ああ、そういえば貴方達、武器選択はどれにするの?明日が締切なのだけれど、ちゃんと決めているかしら?」


武器選択か…すっかり忘れていたな。


「ああ、それって確か明日配布される端末でやるやつやろ?しかも、決めた次の日から授業あるって話やし。」


1日も無駄にしないって精神はスバラシイかもしれないが、正直少し面倒というか、ダルい。


ちなみにマギジェリカの各等部は


【小等部】

・魔法基礎の徹底

・体術や武術、馬術などの基礎の徹底

・一般教養や義務教育指定科目の勉強


【中等部】

・魔法応用の徹底

・高等部や大学部での科目・進路選択に向けた学習

・体術等の継続と実戦に向けた訓練

・一般教養等の勉強の継続

・追加希望科目又は部活動の決定及び受講もしくは所属


【高等部】

・魔法発展の徹底

・選択科目の勉強、魔法の自主研究

・体術等の継続と実戦活動(冒険者活動)

・一般教養等の勉強の終了

・追加希望科目の受講、又は部活動にて何らかの形で実績を残す事(例:レポートの提出や大会出場等)


【大学部】

・全段階の魔法の徹底及び習熟が所属条件の割と狭き門な場

・魔法の自由、自己研究

・体術等の継続及び定期的従軍活動(予備隊,訓練隊として)

・サークル活動(結成・所属は自由だが、在学中に何かしらの実績を一つでも残さなければならない)


【大学院】

・魔法を極めし者のみが所属可能

・大学部までの卒業資格が必須

・何かしらの免許や資格が無いと、まともな研究ができない為、それらの取得も必須条件

・体術等の免許皆伝が出る事もあるが、出なくとも継続は強制

・研究素材を得る為になのか、生徒には自然と高ランクの冒険者が多い

・魔法関係なら何でも自由に研究可能

・サークルは無いが、討論会や研究発表会等が、割と頻繁に開かれる


といった感じの事をする。

また、少ない年数でこれだけの事をしようとすると、あまりにも時間が足りない為、体術や馬術などは全体に教え、武術は武器選択で選んだ武器に関係するもののみを訓練していく事になっているらしい。


そんな割とどころかかなり重要な選択を明日する羽目になっているんだが…

これは此処でしても良い話だろうか?

授業などでいずれ明らかになるだろうが、それまで隠しておいた方が身の為だろ?


「それは、此処で…話して、良い…話か?隠して、おいて…損は、ない…筈だが。」


そう思って、こう言ってみたところ


「そうね…『これならどうかしら?』」


『…文句はないが、はぁ…で、武器選択だったか?俺は第1が刀、第2がナックル…分かりやすく言うとメリケンサック。』


『えっ…冷夏、刀はよーく分かるけど、メリケンサックやて!?いや、何故にその選択?』


むぅ…やはり初袮のツッコミが入ったか。


『刀の次に拳や脚で闘うのが得意なだけ。それに、メリケンサックあった方がダメージ与えられるだろうし、意外性を出してみたかったんだよ。』


『確かに意外性があるな。その姿だと尚更。』


『ああ…まあ、ぱっと見…か弱き美少年やしな。こんなんで凶悪なメリケンサック使われたら、軽いトラウマもんやろ。十分すぎるダメージやで。』


これは、褒めてるのか貶してるのかどっちなんだ?

まあ、戦闘に問題無いなら何でもいいか。

それに、


『そう言う初袮はどうなんだ?』


『俺か?俺は第1が鎌、第2が暗器類やな。まあ、暗器は主に忍者刀使うで。対人なら兎も角、魔物相手に他の暗器はちょっと今の段階やと、やり辛いからな。』


いや、初袮も十分ギャップあるからな。

片手剣とかカッコ良く振り回したりしてそうな見た目で、鎌と暗器だぞ?

決して悪くないし、寧ろ心強いが…さっきのセリフをお前が言うか。


『…はぁ。…で、玲音と葵は?』


『俺は、第1が槍、第2が双銃だ。双銃は魔法銃と実弾銃の組み合わせにするつもりだ。まあ出来れば、魔弾と実弾の両方が撃てる切替式でやりたい所だが…贅沢は言うまい。』


こちらもなかなかの強者だ。普通双銃と言ったら、魔法銃同士か実弾銃同士の組み合わせになるんだが…

まあ、意図や理屈は分かるが、実践するのは容易な事ではない。

はぁ…魔力切れや弾切れに備えての事なんだろうが、要は片方は魔力供給して魔弾作成からの発射、もう片方は弾の数を把握しながら実弾を撃つ、って事だろ?

魔力供給だって、自分の総魔力量と相談しながらやらないとすぐ魔力切れを起こす。

並大抵の努力じゃ、実現不可能だ。

それをやるって言うんだから、コイツもかなりの物好きだ。


『私は第1が弓、第2が双剣よ。双剣にはタガーを使うわ。まあ、ただ使うだけじゃあ面白みにかけるから、刀身に毒を塗るなり、柄に細工を仕掛けるなり…色々やってみるわ♪』


うわぁ…相変わらず、見た目に似合わず悪どいな。

流石、葵。というか、見た目美少女が弓使うと何だか、エルフ感が凄いな。

全然違和感無いし、寧ろ似合いすぎて怖いぐらいだ。

想像でこれなら、現実はもっと凄いだろう。


『…で、まあ、各々選択する武器を発表していった訳だが…見事にバラけたな。』


『授業の時、バラバラになるんか…なぁ、もしもん時合流しづらいし、具体的な集合場所とか決めとかへん?』


『そうだな。それに、これからどうしていくか、もある程度つき合わせておきたいな。』


『そうね…ああ、それなら旧校舎の中庭の大きな桜の樹の下はどうかしら?』


桜…か。いや、まずそもそも旧校舎というのは何処だ?


『旧校舎の位置が分からないから、却下。でも、昼を購買で買った時にはいいと思う。』


まあ、時期は限られてくるだろうが…言うだけ言ってみた。


『んー、俺は職員室前とかでええと思うんやけど。朔夜もおるし。まあ、おらん時は無駄足踏む事になりそうやけど。…ああ、俺も冬以外はそこで昼飯食べるん、賛成やで。寒いんわホンマに勘弁してな。』


ああ、そういえば初袮は寒がりだったか。確かこの4人の中じゃ一番だったはずだ。


『俺は正直言って何処でもいいんだが…旧校舎は確か今の校舎から少し遠かったはずだ。非常事態向きでは無さそうだな。そういう点で言えば、職員室前が妥当かもしれん。…昼飯は食えれば何でもいい。』


まあ、玲音は典型的な花より団子的な奴だからな。風情や情緒も分からなくは無いが、飯には勝てん、と以前言っていたし。


『成る程ね…纏めると緊急時の集合場所は職員室前、昼食を購買で購入した場合は旧校舎の中庭の桜の樹の下で食べるって感じになるけど。これでいいかしら?』


『ああ。』

『大丈夫やで。』

『問題無い。』


『あとは今後の方針だけど…まあ、自由に伸び伸びと過ごしていれば大丈夫じゃないかしら。放課後に図書館通いをして知識を蓄えるなんて言うのも良さそうね。というか、したいわね。』


『図書館通いなら俺もしようと思っていたところだ。一緒に行かないか?』


『あら、奇遇ね。2人はどうする?』


『俺は、訓練場行って暗器の特訓でもやるわ。で、知識が要りそうなら図書館行くわ。』


『俺も訓練場で双銃の特訓をやる。早く手を慣らしておきたいんだ。まあ、知識は必要な時だけ図書館に行く。』


『上手い事2、2に分かれたな。これじゃあ、本当にいつもと変わらないが…』


『いつも通りの方がやりやすいのは確かだし、問題無いだろう。』


『それもそうね。』


「お待たせしました。サーモンいくら丼並、ソースカツ丼大盛り、半熟オムライスのデミグラスソース掛け、和風ソース付きステーキ丼、緑茶4杯です。そして此方が、新入生の皆様にお配りしている、入学祝いの極上プリンです。ごゆっくりどうぞ。」


品が簡易転送リリーヴされてきたと同時にタッチパネルが喋り出した。

…いや、給仕係の代わりにタッチパネルに喋らせたんだろうが、心臓に悪すぎるな。


『飯も来たとこやし、早う食べようや。はい、じゃあ皆さん、手を合わせて…』


「「「「いただきます。」」」」


はっ!?ついつい、いつもの癖でやってしまった…

初袮のしてやったり顔殴りてぇ…

というか、恥ずかしいんだが…

ほら、周り変に騒つきだしたし…

はぁ…まあ、いいか。食べよ。



無言で食べ続ける事、約20分。

皆んなして、同じぐらいに食べ終わり、ごちそうさまでした。と声を揃えたところ、空いた食器等が突然簡易転送リリーヴされた。

仕組みはイマイチ分からないが、まあ、便利なのは便利な為、スルーした。


ちなみに月並みだが、ご飯は頰が落ちそうなほど美味しかった。あれは学校の学食のレベルではなかった。

成績上位10人は、学費や食費、生活費等々、全て免除で学校負担の為、遠慮なく食べまくれる。

まあ、程々にしないと流石に人としてアレだからな、その辺りは弁えている。



食堂から寮へ戻り、それぞれの部屋へと帰った。

寮の部屋は1人部屋で、間取りは1LDKだ。

白を基調として黒や紺でシックな雰囲気に仕上げられている。

広々とした空間の中には洗練された家具が置かれている。

また、家電はオール電化…ではなくオール魔電化だ。

簡単に言うと、家電が内蔵された魔石に魔力を流す事で動くものばかりであるということだ。

電流の代わりに魔力が流れ作動する魔電家具は、割と高級品で電気代もかからない。


ちなみに今の電気は、魔素を電力に変換して作られており、今の世界では『ガス』は一切使われていない。

地球全体で、オール電化しているのだ。

その他の環境問題も、魔素を上手く加工し利用する事で、かなり改善されている。


つらつらと語ったが、兎に角、此処の寮部屋が一学生に与えるには余りに高機能過ぎるのだ。

はぁ…妙に広くて全然落ち着かないな。


とりあえず、いつも通りに過ごすか。






…お、もうこんな時間か。

風呂も入った事だしそろそろ寝るか。


…ああ、何をやってたのかって?

・勉強(まあ、本を10冊程を読むだけだが…)

・筋トレ(腕立て、腹筋、背筋、体幹トレ等)

・風呂上がりの柔軟とヨガ(…のようなもの)

・魔法鍛錬(魔力循環、魔力球維持等)

…まあ、大体こんな感じか?

細々したのは入れてないが…

失敗の可能性を考慮して、新魔法や魔道具、魔法陣等の作製や実験とかはやっていないが、それようの部屋が借りられるなら、借りてやりたい。


「ふぁ…あ。……明日、から…がんばる、か…な。」


おやすみなさい…


そこでふわふわと意識が薄れ、眠りに落ちた。



今年も更新頑張ります!

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