初めてのゴブリン
はじめましてはじめです。
再びの方はこんばんは。
今日は後二話更新する予定ですのでよろしくお願いします。
ちなみにつるぎは三章完結しました。よかったらお目通しを。
昨日は散々な目にあった。
おかけで何か悟りそうだった俺は部屋で今日は何をしようか考えていた。
昨日は結局、エリー姉さんに捕まって何もできなかったしな……
今日はまたレオン兄さんに付き合ってもらうか?
そんな事を考えながらダイニングルームに向かう。
途中、玄関ホールを通ったところで、第一村人発見。もとい、身なりが家族、使用人たちとは違う男性をはじめて見た。
なんというかみすぼらしい?
「アルフォンソ様っ!急に訪ねてきてすみません」
「いや、いいけど。どしたの?」
俺の名前知ってるんだな。と思いながら言葉を返すと男性は
「隣村にゴブリンの集団が現れて……」
ゴブリン!その言葉を聞いて俺はテンションが上がる。
これ、これだよ。迫りくるモンスター。それを退治する俺!
積極的に世界に係る気はないが、これは領地を守る為だ。
それにゴブリンといえば弱いと相場が決まってる。
俺の実力を試すには丁度いい。
「どっち!?ここからどっちに行けば隣町?」
「出て右の道を道なりにですが……」
「ありがとう!言ってくるよ!」
「アルフォンソ様っ!?」
俺は駆け出した。早く戦って実力を確認したい。
俺はその一心で道なりに駆けていく。
遠すぎるだろ……三十分くらい走っただろうか。
家を数件通り過ぎただけで辺りには何もない。
「隣町まで後どれくらいなんだ……」
ていうか広すぎ、まだ俺の屋敷のある村を出てさえいないと思う。
本当に何もない僻地だな。
その割に屋敷にある物は裕福な物が多いが……
後ろから馬車が迫ってくる。
「アルフォンソ、何をしておる」
「ちょっとゴブリン狩りに」
「戯けめ!乗れ」
あ、乗せてくれるの?怒られるか反対されるかと思ったよ。
案外物分りのいい親父なのかな?
「アル。お母様が怒ってたから後で大変だよ」
馬車に乗るとレオン兄さんが苦笑いを向けた。
「マジで、父さん?」
「うむ、私はもう十歳なのだから大丈夫だといつも言っているのだがな」
「仕方ないですよ。アルは泣き虫だから」
お前には言われたくない。てか、敬語使えたんだなミジンコの癖に。
「けど、今のアルなら大丈夫だよね?」
「それを試すにも丁度いいと思ってさ。ゴブリンってザコだろ?」
ゴブリンを雑魚という俺にみんなが目を見開く。
「いやいや、お前。ゴブリンは二人がかりでやっと倒せる相手だぞ。魔法使いでも集団相手じゃなかなか」
えっ、そうなの?まあ確かに群れるイメージはあるけど。
「油断するなよアルフォンソ」
「わかったよ。父さん」
馬車に揺られること一時間、隣の村に到着した。なんというか柵で覆われた中に何軒か家がある小さな村だった。
「辺境伯こちらです」
一人周りより身なりのいい男が声をかけてきた。
男に案内されるように、その場所に向かうと柵の奥にゴブリンが沢山。十数体だろうかこん棒や何かわからないもの。石を持って暴れている。
それを村人が懸命に盾で防いでいるがなんで魔法使わないの?
「レオン兄さん。なんで村人は魔法使わないんですか?」
「ああ、魔法が使えるのは基本的に貴族だけなんだ。稀に平民も使える者が現れるけど、ほんとに稀だね」
そうなんだ。となるとこの国は魔法使いが集まって作った国なのかな?
魔法に遺伝が関係するなら、貴族に魔法使いが集中する原因も……
と、そんな事を考えている場合じゃないな。
「ギャギャ!」
ゴブリンが投げてくる石を躱す。
あぶねーなぁ。けど見た目緑だけど大きさは子どもくらい。俺と変わらない。一体でかいのがいるけどそれがリーダーかな?
「マルセル。鑑定だ。念のため弱点を探れ」
「はい、お父様!」
マルセルがユニークスキルを発動させる。
俺がそれを見ると……
『ユニークスキル・鑑定士を獲得しました』
えっ。
見ただけだぞ?しかも五割再現で再現したもこと違って完璧に獲得してる。
「レオン兄さん。こんな状況で言うのもなんだけど……」
マルセルが必死に鑑定してる間に俺はユニークスキル鑑定士を使用する。
「新しいユニークスキル手に入ったみたい。弱点は火だよ」
「火ですお父様!」
俺の後にマルセルが続く。
「なんでお前が答えるんだよ」
「アル本当なのかい?」
俺はレオン兄さんに頷く。マルセルは無視した。
「父さんちょっとスキル試したいから俺がやっていい」
「構わんが村人を巻き込むなよ」
「当然だよ……五割再現!」
俺は片手で炎と風の竜巻を出す炎を出し風の竜巻の威力を落として炎が消えないようにする。これで……
火災旋風もどきの完成だ!
本物には比べ物にならないし、威力も五割が物理法則によって上がっただけのものだが制御はできる。
火災旋風もどきがゴブリンたちを巻き上げ焼き尽くす。
やっぱり弱いじゃんよ。耐久力もさほどない。
「村人さん。そこらの奴らもやっちゃうから怪我しない様に離れて」
村人はゴブリンから逃げているのか火災旋風もどきから逃げているのかわからない感じに散り散りに逃げゴブリンたちは驚愕の顔を俺に向けた。
あら?モンスターにも意思が?
けどモンスターだ。
俺はあっさりと村に近かったゴブリンも始末する。いつの間にか大きいゴブリンも倒してしまいあっという間にゴブリンはいなくなる。
「まっ、こんなもんか」
魔法を解いてパンパンと飛んできたホコリを払う俺に家族村人が驚いた表情で見てくる。
「まっ、こんなもんか、じゃねー!!」
ねー、ねー、ねー、とマルセルの言葉が木霊する。
「やっぱりザコじゃん。父さんもビビらせ過ぎだって」
「いや、お主……」
「アル……今から自重って言葉覚えようか」
レオン兄さんに肩をポンと叩かれ気づいた。
「やりすぎちゃった?」
俺の言葉に家族は呆れ、村人は尊敬と畏怖の眼差しを俺に向けた。
異世界の常識学んだ方がいいかもなぁ。
俺は悠長にそんな事を考えていた。