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標的01 争いの真髄

STORY 2 PARRT 4

 圭はネロのグローブに当たった反動で倒れた。何も起こらない。

白夜は炎を再び掌に宿すと、倒れている圭の方を見た。

「焦げろッ! ジ・エンド・オブ、十代目ッ!」

炎をさっきの威力の2倍にして、圭に向かって止めを刺した。もはや避けるのは不可能であった。

爆炎と何かが当たったかのような轟音が鳴り響いた。煙で視界が途絶え、状況が把握できない。

「終わったな」と呟く白夜とは違い、ネロは何かを待ち構えているかの様な表情を浮かばせている。

煙が段々薄れて来て、爆炎投下後の圭の横たわっている姿が伺えると思っていた白夜は目を見開いた。

―薄れる煙の中に居たのは、他の誰でもない…圭本人だったからだ。

圭は顔を俯かせて、何も無かったかの様に立っている。ある意味幻想的である。

「ば、ばかな……! 俺の爆炎は命中したはず―「ふん、分かってねぇな。」」

ネロはそれだけ呟くと、圭を見て鼻で笑った。

白夜は歯軋りすると、再びさっきの2倍の炎を無理に出した。もう体力の限界が迫って来ている。

「くそッ……! 爆炎っ!」

ただ平然と立っている圭に再び攻撃を仕掛けた。しかし、炎は途中までしか進まず、白夜の近くでボウッと燃えた。

体力の限界が来ている白夜の周りに呪いの爆炎の渦が巻いた。逃げる事は……不可能だった。

「ジ・エンド・オブ……俺?」

すると、驚く所に上から圭が降りて来た。この状況じゃ二人とも灰になってしまう。

圭の降臨に驚きを隠せなく、白夜は素直に綺麗な目を大きく見開いて口を半開きにしている。

そんな白夜に肩を貸し、圭は爆炎の渦の頂上を見上げて思いっきりしゃがむと、その勢いで爆炎の渦から飛び出た。

上手く着陸すると、白夜を木に寄りかかせて圭はネロを見た。

「やったな。」

圭はいつもの表情に戻り、ほぅと息をついた。圭はまださっきの感覚が体に残っているようだった。

すると白夜は、いきなり圭の前で土下座の体勢に入った。

「す、すいませんでしたっ! ……こんなに調子乗ってしまっていた自分に嫌気が差しますッ。」

「……はぃ?」

圭は眼鏡をくいっとして、瞳を大きく見開いた。さっきまでの彼とは全然違う人格が現れたのだ。

「……この白夜紺、一生貴方様に着いて行きますッ! 十代目ッ!」

「な、何でー「当たりめぇだろ。」」

圭が驚愕しているとネロが真顔で圭を見上げた。

「“負けた奴が勝った奴の手下になる”……マフィア界の常識だぞ。」

圭は土下座から顔を上げた体勢になった白夜の前に座った。白夜は何故か圭を見上げてしまった。

「で、でも……! 自分はマフィアじゃないし、そんな事でー「いえ、違います…」」

白夜は俯くと、微妙な微笑みで話し始めた。

「俺は……俺は次期ボスになりたいなんて、そんな大それた事など考えてなかったんす。只十代目が本当にボスになれる人材なのか…確かめたかっただけで……。でもそんな必要ありませんでした。」

しみじみとそう言うと、白夜は圭の手を取り、瞳を輝かせて言った。

「貴方は十代目にお相応しい方だ……。敵をも助けてくれるとは、何て心の広いお方……。この白夜紺、たとえこの身が朽ち果てようとも、十代目である貴方をこの命をかけてお守りいたしますッ!」

圭は「は、はぁ……」と呟きながらネロに助けを求めた。

「フン、中々おもしれぇ奴だな。……こういう奴もファミリーには必要なんだぞ。」

すると、靴箱の方から山歹が走って来た。

「おぉ、ここにいたのか。今日部活無いから一緒に帰ろうぜ。……お? 転入生もいるな。何してたんだ?」

「山歹……。」

山歹は圭の肩に手を置いた。その光景を見て、白夜はむっとした。

「てめぇ……気安く十代目にさわんじゃねぇ!!」

白夜は立ち上がり、再びライターを取り出し、蓋をカチャッと開けた。

「焦げろッ!」

もう少しで爆炎が作成されるという所で圭は必死で止めた。一般人にこの事を知られちゃまずいと直感した圭は、白夜の腕を掴んだ。

「びゃ、白夜君! 落ち着いて!」

「十代目が…そう言うなら。」

白夜は笑顔でライターを閉まった。しかし、山歹の方を向くと無愛想に言った。

「今度、十代目に気安く触ったりしたら許さねぇからな。」

すると山歹は爽やかな笑顔で首を傾げた。

「十代目……? あぁ、圭達はマフィアごっこしてんだな。面白そうだし、俺も入れてくれよ。な?」

「いやぁ、ごっこじゃないし……。」

圭が山歹の天然に呆れていると、今度はネロが山歹の頭に乗っかり、鼻で笑った。

「あぁ、勿論だ。圭のファミリーが揃うのももはや時間の問題だな。」

圭は直ぐにネロに抗議した。抗議しても無駄なのは理解済だが。

「そんな意味が分からない組織に一般人を巻き込むのは止めてよ。……それに自分はマフィアなんかにはならないって言ってるだろ?」

「そうっすよ! こんなヤツをファミリーに入れるのは俺も反対っす!」

白夜も圭と加勢した。しかし、ネロはわざと可愛く上目目線で圭を見た。

「だって〜。ボスの命令だもん。」

圭は呆れて言葉もでない様子。白夜は「やれやれ」と良い、降参のポーズを採っていた。

「だもん…じゃないでしょ……。」

ネロは元の表情に戻ると1人で考え込んだ。

「(だが、さっき“裏TIME”から元に戻る時…前やったときは気を失ったのに何故今回は平然としていたんだ?初代ボスでさえ、平然といれたのは約1年かかってからだったと言うのに。)」

ネロは白夜と山歹と戯れている圭を見てニヤッと笑んだ。


「まさかだとは思うが…お前はひょっとしてひょっとするかもな、圭。」


その日の夕日はとても綺麗だったー


STORY 2 END

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