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どん色の女騎士と、輝色の女魔術師  作者: いのれん
第二部「覚醒編」
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番外編 あくまで人気なのは悪魔

 あたしは修練場で剣の素振りを終えて、水浴びをしようとブロンズ専用の水浴び場へ向かう途中。銀騎士の集団がなにやら見ているのに気がつく。

 一体何を見ているんだろう?

 いいものかな、あたしも見せて貰えるかな?


「ねね、何を見ているの? あたしにも見せてよ」

「はぁ? どん色騎士には関係ねえよ。向こう行け」

 あたしが声をかけた瞬間、その集団が見ていたであろう何かを隠されてしまう。

 やっぱりそうなるよね。いつもの事だからいいんだけどね……。はぁ。


 諦めて再び水浴び場へ向かう時、別の集団が同じ様に何かを見ている事に気がつく。

 今度は銅騎士の集団だから見せて貰えるかな?

 わくわく。


「ねえねえ、何を見てるのかな?」

「ん? ああ、お前には関係ないから」

 先ほどと同じく、冷たくあしらわれてしまう。

 一瞬見えたのは、何か紙を見てたような?

 でも何が書かれていたかは解らなかったし、何でそんな隠すの。

 さては、いやらしい絵だね!

 もー、男の子ってほんとえっちなんだから。


 うーん、でも気になる。

 隠されると余計に気になって、むうう。


 はぁ、気にしても無駄なんだけどね。どうせ見せて貰えないし。

 さっさと水浴びして寝よ。


 あたしが諦め、再び水浴び場へ向かう時、一人の金騎士が同じ様に何か紙を見ていた。

 さすがにシルバーやブロンズで断られたのに、ゴールドなんて無理だよね。

 でも気になるなあ。何が書いてあるんかなあ。

 うーんうーん。


「これか? お前も見てみるか? 女の子が見て楽しいかどうかは解らんが」

 あたしの視線に気がついたのか、その金騎士は今まで見ていた紙をあたしに渡してくれた。

 やった。ついに見れる!

 何が書いてあるんだろう。わくわく。


 あたしが胸躍らせながら紙を見てみると……。

「こ、これって」


 真っ赤な瞳、頭には二本の角、背中にはコウモリの翼、そしてちょっとえちい格好。

 間違いない。ここに描かれているのは、あたしが悪魔に変身した時の姿の絵だ。


「記念祭で出てたさすらいの旅芸人さんの絵だぜ。凄い綺麗な人だよな」

「へ? あ、ああ。うん、そうだね」

 こ、こんなものがあったなんて。

 全然知らなかった……。


「仮装コンテストで出てた人達とリーネちゃん、エミリアさんの絵が販売されたんだ。有名な画家らしくて発売当日に全員完売したが、リーネちゃんとエミリアさん、そしてこのさすらいの旅芸人さんがいち早く売れたんだぜ」

「そうなんだー。ほおほお」

 二人はともあれ、あたしって意外と人気あるんだね。

 何だかちょっと嬉しいかも!

 ふふん。


 ……でも、悪魔に変身したあたしが人気あるんだよね。ちょっと寂しいような、悲しいような、ううっ。


「しかも、売値八百ゴールドが今じゃ価値が上がって五千ゴールドで買い手が居るらしいからなー。まあ俺は手放さないけど」

 あたしの事もそうだけど、エミリアの絵が欲しかったなあ。

 きっと天使の姿で描かれているんだよね。

 きゃー、部屋に飾っちゃうっ!


 気になっていた事が解消されたあたしは、金騎士に自分の変身した姿が書かれた紙を渡すと、金騎士はその場から去っていった。去り際、妙ににやにやしてたのは気のせいかな。

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