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8月31日の憂鬱  作者: あまやま 想
小学生時代
7/19

妹が生まれてから(2−2)

 八月三一日、あろう事か海美が熱を出した。しかも、台風が近付いているため、外は雨と風が吹き荒れていた。父と母は時々、台風がどこにあるのか確かめるために、天気予報をチェックしていた。


「まあ、一一年も生きていれば、たまにはこんなこともあるだろうよ。どうだ。父さんと一緒にプレステでもやらないか?」


 他にやることもなかったので、僕は父の誘いに乗ることにした。二人で桃太郎電鉄と言うゲームを飽きるまでやっていた。


 ふと見ると、母は海美の看病に必死だった。本当だったら、海美を病院に連れて行きたかっただろう。また、邪魔者になる父と僕の二人が外にでも行けたらよかっただろう。


 でも、台風が直撃しているらしくて、雨と風はさらに強まった。夜になると、電線が切れたのか停電してしまった。幸いなことに、海美の熱は下がったが、体の調子がまだ悪くて不安なのか、珍しく海美はずっと泣いていた。


 母は暗い中、海美が寝息を立てるまで、ずっとおんぶしながらあやしていた。この日は珍しく、四人が肩を寄せ合って、リビングで寝た。窓の近くで寝ると、万が一、ガラスが割れたときが危ないからと父が言っていた。


 次の日、台風は過ぎ去ったが、近くの川が氾濫し、至る所で街路樹がなぎ倒されたため、始業式なのに学校は臨時休校になった。


 台風の後始末は大変だったけど、夏休みが一日増えたみたいで、何だかうれしかった。しかも、二日と三日が土日だったため、始業式は四日にずれ込んだ。


 台風のせいで、全く誕生日らしいことはできなかった。でも、台風のおかげで八月三一日が「夏休み最後の日」とはならなかった。それが僕にとっては最高のプレゼントとなった。


 台風が直撃したおかげで、父も母も仕事どころではないようだ。家の周りに飛んで来たゴミ・木やガラスの破片などの片付けに追われていた。停電が一日にも及んだため、冷凍庫のアイスや冷凍食品がぐちゃぐちゃになっていた。その片付けも大変だった。


 ようやく、台風の後片付けが済んだようで、誕生日については二日遅れで祝ってもらえた。まあ、ごちそうとケーキを囲んですることができたからよかった。


 別に毎年、誕生日に遊園地へ行く必要はない。今の所、二年に一回しか行けてないけど、それでよかった。

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