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こんな勇者&魔王様関連小説

こんな勇者の冒険の物語

作者:

こんにちわおはようございますこんばんわ。あたしはフィレア。元、農民のびびりです。泣き虫の臆病者ってよく言われます。

親が残してくれた畑の世話をしつつ平々凡々に暮らしていたのです。

だけどなんの因果か………勇者と呼ばれています………。


「おやおや。やっぱり旅の始まりはこれですよね」


『お~~~~シャバの空気うめぇ~~~~!!これだよこれ!!聖域は静か過ぎて暇なんだよなぁ~』


エルフの美形神官様がのほほんと笑いながらあたしの腰にぶら下がった代々の勇者様が使われた(非常識だけど喋る)聖剣と全くかみ合ってない会話を繰り広げていらっしゃいます。

そんな二人(?)に挟まれ(?)たあたしは荷物を抱きしめてガタガタ震えてます。ええ。もう震えるしかありません!!

凶悪なお顔で荒くれた空気の筋肉隆々のむさ………ごほん、くさそ………いやいや成人男性十人(武器携帯)に囲まれたら農民はただ震えるしかすることないんですよ!!


「し、神官さま………」


藁を掴む思いで神官さまを見上げたら何故だか目が笑っていない笑顔をくださいました。何故に!


「勇者様。わたくしのことはシェルとお呼びくださいとお願いしたはずですが?」


はい、もう一度、とがしりと頬をつかまれて要求されました。

っていうか神官さま。神に仕えるべきお方が仮にも女の子の頬を片手で捕まえて何を要求していらっしゃるのですか!!

手馴れてません?手馴れてますよね?っつか何故にお顔をそんなに近寄らせるのですかぁ!!

キラキラ常備のお美しいご尊顔の大威力にあたしの体力はゼロに近いです。

し、神経細いのです。常人よりもかなりか細いのです!色々ありすぎてもう一杯一杯なんですから追い詰めないで!!


と叫びたいけど叫べない。びびりなあたし。


「いえ、あの、神官様は神官様で尊いお方ですし、それにですね、今、そんなことを議論している場合じゃないと………」


「………勇者様?」


物凄い笑顔で促されています。神官様の背後に花と星と光が飛び交う幻が見えますよ!!前方にたむろしている盗賊はがん無視ですか!眼前の危機よりも貴方様への呼び方の矯正の方が優先ですか!!

命、命が危ないのです!!お金も………もしかしたらあたしの貞操なんてものも絶賛危機に陥っているのですけど~~~~~~~~~~!!


「さぁ、呼んでください」


涙目です。盗賊も怖いですが目の前の仲間(のはず)が怖いです。物凄く。プルプルと仔羊のごとく震えるしかないあたしは蚊のなくような声で呼びました。


「シェル様……」


「様はいりません」


「し、シェルさん」


「…………」


え、笑顔の圧力が痛い。重いではなく痛いんです。物理的にどうこうされているわけではないのに痛い。ものすごく、痛い。耐え切れずにあたしは俯いて更に小さな声で神官さまのお名前を恐れ多くも呼び捨てにしました。


「シェル………」


神官さまを呼び捨てにしただなんて国中に散らばっているという神官さまのファンクラブにばれたらこ、殺される。い、いないよね?

きょろきょろと唯一自由になる眼球を動かし思わず辺りを窺ってしまう心弱いあたしであります。


「………はい。勇者さま」


満足そうに笑われるとするりと白魚のような手があたしの頬を撫でます。あ、あの………そばかすだらけのこの肌を何故にそんな執拗に撫でるのですか?

そ、それにお日様の元に全く似合わない色気はなんですか!!


『相変わらず………神官らしからぬ色気を持った野郎だなぁ………』


あたしの腰に下がった聖剣様が呆れたように呟いています。

そのお言葉から察するに神官さまは昔からこんな色気を放っていらっしゃったのですか。


『おう、そいつ昔から老若男女問わず引っ掛けてたぞ』


きっと聖剣様が人間なら器用に肩でも竦めていたのだろうと軽く想像がつくような声色でした。

引っ掛けているってなんですか。それは。老若男女かまわずってどんだけですか。

そして見ているだけで助けてはくれないのですね、聖剣様。


『わりぃ。おれ、そいつの相手苦手』


あたしの心を読んだ上でのご回答。無慈悲です………。

ああ………土と戯れ鍬を振るっていたあの日々へ帰りたい………。


『無理だろ。この粘着神官が逃がすわけねぇ』


だから!心を読んだ上であたしの心を叩きのめす発言はやめてください~~~~~~!!


心の雄叫びと同時に神官さまが「外野が煩いですねぇ」となんでもない風に盗賊たちに鬱陶しそうに魔法を当てまくっていました。


の、農民に帰して~~~~~~~~~。勇者なんてむり~~~~~~~~~~~~!!

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