私の兄
第19話です。
『秋奈へ
今日は日直なので早く学校へ行きます。
朝ごはんはぼくが作っておきました。
冷めてたらあっためて食べてください。』
「・・・逃げた、か」
机に置かれたメモを見て私 小林秋奈は確信した、兄は逃げたと。
きっと、『日直』は私から逃げる口実だろう。
私の兄は部屋が汚くて頼りないが、一応まじめな性格だ。
もしも次の日に日直があるのなら前日には伝えている。
「ちょっと昨日いじめすぎたかな」
昨日の兄のそわそわしてる様子を思い出してついつい笑ってしまう。
椅子に腰かけ少し冷えた目玉焼きとウィンナー、それとトーストを食べ始める。
(私から見て絶対にお兄ちゃん愛美さんの事気になってるよね・・・。)
隠そうとしているがバレバレだと思いながら
(それにしても兄は自覚しているのだろうか?)
と疑問に思う。
もしも兄が一般的な男子高校生なら気づくだろ。
しかし、残念ながら私の兄はとってもとっても鈍感なのだ。
私の兄は妹の贔屓目を抜きにして見ても、意外と顔は悪くない。頭も運動神経も悪くはない。
それで、性格はお人よしというぐらい優しい。
なのでそれなりに中学の時はモテていた。
しかし、兄は同級生からバレンタインデーにチョコもらっても
「なんか、『これは義理だから』って渡すだけ渡されたからきっと義理チョコだよ」
とのほほんと笑う。
兄よ、あなたの手に持っているチョコを見てくれ。
その丁寧にラッピングされたかわいい包装。
明らかに手作りだとわかる生チョコ。
これのどこが義理なのだあろうか。
少なくとも私は義理チョコでここまでしない。
私は呆れて何も言えなかった。
結局あの後どうなったかは知らない。
「はぁ・・・」
思い出すだけでため息がもれる。
まぁ、さすがに自分の気持ちぐらい気づくだろう。
どこぞの恋愛小説の主人公ではないのだから。
私はそう自己解決して学校へ向かった。
えっと、宿題が終わってないのに書いてしまいました・・・。
楽しんでいただけたら幸いです。